2月22日は猫の日!
ペルシアンとエネコロロ
「「 Unbelievable… 」」
同時に発せられた言葉に俺等は何も言う事が出来なかった。
最初にこの状況を見た時に、同じ様に叫んだし…マジかっ?!ってな。
色々マズイ事になってるんで、車両点検日で休みだという
インゴとエメットにクダリが泣きついても仕方がないだろう。
最初は揶揄うつもりだった二人も、この状況に何も言えなくなってる。
「Ahー、状況はたしか例のマルチバトル戦が原因なんだヨネ?」
「トリックルーム、マジックルームのFieldで
エナジーボールとシャドウボールがぶつかりあった…デシタネ?」
「うん、ボクと、は咄嗟に地面に伏せたんだけど
にその衝撃が向かってて…それをノボリが庇おうとした。
そしたら、その後はこんな感じになっちゃって…」
クダリの視線の先には尻尾に黒いリボンをつけたペルシアンがいる。
俺等の話を黙って聞いていたが、ため息をついて首を振る。
随分人間臭い真似ができると思ったが、そういえば元は人間だしな。
「こっちがノボリってのは納得ダネ。ポケモンになっても
ブッチョウヅラ?それって治んないんダネ。」
「は?同じ様にポケモンになったのデスヨネ?」
周囲を見渡す二人に、俺は応接スペースを指さした。
そこにはソファーの影からこっちを怖々とみているエネコロロがいるんだが…
「Wow!色違いナノ?すっごくCute!、こっちにおいでヨ。」
エメットの声に驚いて、上げていた顔を下ろしてソファーにうずくまる。
そんなを…いやエネコロロをみてインゴの目が細まる。
「性格はおくびょう…デスネ。ノボリもですが、も高個体値デハ?」
インゴがソファーに向かい、隠れていたエネコロロを抱き上げる。
びっくりしたような声で鳴いているんだが
それすら、インゴのツボの様でそのまま膝の上にのせる。
「俺が見た感じだと、ノボリは5V確定だな。
は4V…攻撃と特攻以外は最高値だと思うぞ?」
らしい!とエメットが笑ってインゴの傍に座る。
未だにインゴの膝の上で目を閉じて震えているエネコロロを撫でれば
その体がビクッと跳ね上がる。
「ポケモンでも肌触りが最高なんダネ!コレってくせになりそうダヨ…
勿論、なんだからメスだよね…Ouch!インゴ痛いヨ!」
エネコロロの片足を持ち上げて、性別を確認しようとしたエメットを
インゴが問答無用で後ろ頭を叩く。
当たり前だ、インゴがしてなければ俺がやってるところだ。
「今はポケモンですが、なのデスヨ?
それを忘れるとは愚弟でも許される事ではゴザイマセン。
クダリがワタクシ達を呼んだのは、ノボリの代わりをさせる為デショウ?
エメットが全て引き受けますノデ、存分に使いなサイ。」
エメットの仕打ちに涙目になって更に震えるを抱きかかえて
のデスクへ移動すると、インゴは椅子に座った。
今思ったんだが、平均よりふたまわり近く小さい様な気がするな。
それに比べて、ノボリのペルシアンは平均よりかなり大きい。
「Hmm…少々小さめデスガ、とても愛らしいデスネ。
この状態はどの位続くかわかっているのデショウカ?」
「色々調べたり聞いたりしてみた結果、3日位で戻るって話だよ。
流石に3日間もサブウェイマスターの片方が不在にはできないしね。」
「聞いたでショウ?何も不安になる事はアリマセン。
、今はこの状況を楽しんでしまうのも面白いと思いマスヨ?」
エネコロロの頭を撫で続けるインゴはの言葉に頷いてから
普段では想像も付かない様な甘い声で話しかける。
そういえば、ノボリが言っていたな。
人にはとことん冷徹だが、ポケモン相手になるとインゴは別人だと。
これがそう言う事なのかと、妙に俺は納得しちまった。
インゴの手に少し慣れたんだろう。がおずおずとインゴに擦り寄る。
その様子に気を良くしたのか、さらに首筋や背中も撫で始めた。
「キュ…」
小さな鳴き声が聞こえて驚いて見れば
なんだか、気持ちよさそうにウットリとして、インゴに擦り寄っている。
「フフッ、もっと可愛がって欲しいのデスカ?よろしいデスヨ。
確かに愚弟の言うとおりでゴザイマスネ。この触り心地はクセになりマス。」
ちょーっと待て!インゴの目が怪しく細まる。
両手を使って胸から腹にかけてを優しく撫で上げれば
エネコロロは小さな声で更に鳴きながら仰向けになった。
「そう言えば、インゴってポケモン撫でると皆こうしちゃうヨネ?
Technician?人間でソレって有り得ないんじゃないカナ。」
「否定はシマセン。デスガ、ポケモンになってもは変わりませんネ。
他のポケモンでしたら、もっと骨抜き状態になるのでゴザイマスガ…」
撫でる動きを止めて、力の抜けたエネコロロの身体を抱き直していると
さっきよりは慣れてきたのか、インゴの首筋に顔を擦り付けて
続きを強請る様に、頬を控えめにだが舐め上げた。
「ちょ、?!もしかしてエネコロロの本能に引きずられてる?
ボクも!ボクもを撫でる!ほっぺにチューしてもらう!」
凄い勢いで近づいてきたクダリに驚いて、はインゴの腕の中を飛び出し
再びソファーにうずくまる様にして座り込んだ。
途端にインゴの機嫌が急降下して、眉間に皺が寄る。
「クダリ…いい度胸でゴザイマスネ…
丁度良い、スーパーマルチの待機要請が入りましたノデ
一緒に乗り込むとシマス。ワタクシは勿論、オマエを倒しますケドネ。
サァ、手早く済ませたいノデ行きマスヨ?」
クダリの襟を掴んで、そのままインゴは部屋を出ていった。
「これはChanceダネ!って、ココでダブルの待機要請?!
Oh, damn !仕方がないカラ行ってくるヨ。」
未練たっぷりな顔で、ソファーの方を見ながらエメットも部屋を出た。
残されたのは俺ととノボリ=ペルシアンと=エネコロロなワケで
急に、今までおとなしく自分のデスクの椅子に器用に座っていた
ペルシアンがゆっくりと応接スペースに向かった。
未だにソファーで小さくなっているエネコロロを見て、ため息をつくと
傍によって、なんだか話をしている様に鳴き始めた。
『…貴女という人は…』
『ノボリさん、さっきの私を全力で殴りたいです。』
『反省はされているのですね。
そう簡単にインゴに抱かれるのはおやめくださいまし。』
『好きで抱かれたわけじゃないですってば!
もう人として大切なモノを無くした感じで、撃沈してるんですから…っく…』
『あの連中を相手に、さぞ怖かったでしょう?
に手を出さない様にお守りしますから、泣かないでくださいまし。』
『ノボリさんがお母さんに見える…』
『性別無視とかポケモンになっても相変わらずでやがりますね…
さぁ、慣れない体で疲れているのでしょう?このままそばにおりますから
は少しお眠りなさいまし。』
『うん、絶対離れないでくださいね?』
『…大丈夫でございますよ。そうですね…私も少し眠るといたしましょうか。』
話が終わったのか、ソファーの上で寄り添うように眠り始めたんだが
なんていうか、その光景はアレだ…
「色々あって、こいつらも疲れてるんだろう。
すげぇ仲の良い感じで、育て屋に連れてけばすぐに卵ができるんじゃねぇか?」
俺が思っていた事をがソファーの2匹を見ながら呟いた。
そう言えばグループも同じだから、不可能じゃないんだよな。
「それは俺も思っていた。
トレイン乗車中の3人が戻ってきたら、また騒がしくなるんだから
今はこのまま寝かせておいてやろう。」
「だな、あの連中は思いっきりこいつらで遊びたがるだろうしな。」
つかの間の静かな時間を過ごさせる為に、俺とはキーボードを打つのも
極力音を立てないように、仕事を再開させた。
色々こいつらにすれば、大変だとは思うが
もし、自分がポケモンになってたら、何になってたんだろうな。
お互いに擦り寄る様に眠る2匹を見ながら、俺はそんな事を考えていた。