三章・指差確認準備中! 番外編 -完全無欠な課長の弱点-

三章・指差確認準備中! 番外編

完全無欠な課長の弱点



がユノーヴァへ出向した次の日、

マルチトレインの帰り、執務室へ戻る途中で頭の上にイトマルを乗せ

書類を見ながら歩いているを見かけたから声をかけようとしたんだけど



くん、シングルトレインのホームの壁に穴が空いてるから。

ちょっと目立つ場所だったんで報告しておくよ。」



「あー、お客様が八つ当たりでもして空けたんですかね…

了解しました、これからちょっと見て必要なら修繕しときます。

いつも色々と教えてくださってありがとうございます。助かります。」



「気にしなくても良いよ。あんた達は一生懸命に仕事してるからねぇ

おばちゃん達はそういう子を見るとお節介を焼きたくなるもんさね。」



「ははっ、おばちゃんなんて年じゃないですよ。お姉さんで通用しますよ?」



も、女の人なら年とか関係なくこーいう事を平気で言う。

勿論冗談なんだろうけど、言われたおばちゃんたちは嬉しそうだ。



「またまたぁ、うまい事言って!アンタもくんも口がうまいんだから!

あ、カナワタウン行ホーム近くの男子トイレの水漏はいつ直せそうかい?

今日もお客様に言われたから早めにお願いしたいんだけどねぇ…」



「昨日もらった書類の場所ですよね?それならこの後取り掛かります。

お客様からの苦情を受ける様な事になってすみません。」



「謝る必要なんてないよ!それなら良いのよ、うん、頼んだよ!」



そう言って清掃員のおばちゃんは次の掃除場所へ行っちゃった。

また書類を見ながら歩きはじめたの後ろ姿を見て

今迄ずっと黙ってそれを見てたノボリが横で感心した様に呟いた。



「いつも思うのですが達は人当たりがよろしいですねぇ…」



「うん、小さい子とかお年寄りにまですっごく丁寧だし気さくだし

お客様の女の人達にも人気があるってトレーナーの人が言ってた。」



達は誰に対してもスマイルを忘れない。

笑顔はお金のかからない最大のサービスだって言ってる。

作業員なのにそこまでする必要があるのかって聞いたら、

どんな仕事だって、必ず人と接する事があるんだから必要なんだって!

そういう姿勢を徹底させてるのはホント凄いなって思う。


執務室に戻って見れば、先に戻ってたは今度は総務部長さんと一緒で

二人で書類を見ながら色々と話をしていた。



「この件はから聞いてますが、あちらの方の了承が得れたんですよね?

それじゃあ…これだ。から書類を預かってますんで検討して下さい。」



、もしやは返答別で書類を作ってたのかい?」



「えぇ、この案件は早期に実現させるべきだと言ってました。

なので出向が決まってから、あいつは何種類か書類を作ってたんです。

俺も全て聞いてます。補足説明もできますからしましょうか?」



「いや、この書類の内容だけで十分だ。

それじゃあこの書類通りに向こうと話を進める事にさせてもらうよ。」



そう言うと総務部長さんは部屋を出て行った。



、今の話を聞かせていただきましたがは出向するにも拘らず

企画を立案してらしたのですか?それは少々無責任ではございませんか?」



ノボリがコーヒーをに手渡しながら言った事はボクも思ってた事

仕事に関しては完璧主義なにしたら珍しいから余計に気になるよね!



なら俺が補足説明する必要がない書類を作れますからね。

だから俺は出向にかかっても構わないからと通させました。

無責任な事は駄目だと言われましたが、この企画は早期実現させるべきです。」



企画の内容を聞いたら、お客様と接する部署の職員全員がお客様に対して

救急処置が出来る様にする為の講習を受けさせるものらしい。

ポケモン達に関してはてつどういん全員はそういった資格を持ってるけど

そーいえば、一般のお客様に対してはやってなかった。



「成程、確かに急いで通したほうがよろしゅうございますね。

本来なら接客している部署が企画すべきなのに…申し訳ございません。」



「医療班があるんで必要ないと考えているんじゃないですか?

でも万が一を考えれば、全員が覚えておいて損はないんです。」



うん、の言う通りだと思う!

ボクがじゃあも救急処置ができるの?って聞いたら、当然って言われた。

ノボリと二人で感心してたら、インカムからを呼ぶ通話が流れた



『こちら車両整備班です。課長、資材搬入口に材料が届いてます。

なんだか確認して欲しい物があるみたいなんで至急来てください。以上!』



『こちらです。すぐに伺いますので待たせていてください。以上。』



「あれ?が在庫は沢山あるって言ってなかったっけ?」



うん、出向する時確かに言ってた!

そしたらが苦笑いをして、ボク達に数字で埋め尽くされた書類を見せた。

なんだろうって思ったら、これから先の日付と材料屋?から来る材料の種類が

日にち毎に分けられて書いてあった。



が俺の作業工程を予想して、在庫置き場に収まらない分をこうやって

日にちをずらして発注してたんですよ。足りなくなれば作業に支障がでますし

俺がバトルトレインに入り浸りになるのは許せない…そう言ってました。」



なら確かにそんな事言いそうかも!

でも二人共凄いな、自分達がいない間でもちゃんとこっちの仕事もしてる。

それも残ったにかかる負担を最小限にする様に考えてだし、凄すぎ!

それじゃって言ってが出て行ったドアを見ながら、ボクは溜息をついた。



「クダリ?」



「…なんだか今更ながらにも凄いなって

自分達がいなくても、自分のやるべき仕事だけじゃなく他の仕事もしてて

そういう事って普通だと気がつかなかったり出来ないのになぁって思った。」



ボクの話を聞きながら書類にサインをしていたノボリが頷いた。



「あの二人も凄いと思いますが、彼等の不在中に彼等の残した仕事を

事も無げにやっているも凄いと思います。

自分の仕事も通常運行で完璧にされているのに、でございますよ?」



ノボリに言われて気がついた。そーだよ、も凄い!

は自分の仕事を午後休憩迄で終わらせて、残りの時間は書類書きを

してるんだけど、流石にそれはできないだろうな。

いつも達には助けてもらってるから、ボク達が今度は助けようって言ったら

ノボリもブラボー!連発で提案に乗ってくれた。





んで、午後休憩ちょっと前に執務室に戻ってみれば…



「ただいまー!って、事務作業をしてるけど仕事は終わったの?」



「は?勿論終わったんで書類書きしてるんですよ。

これ、今日の分の作業報告書です。それとこちらの書類をお願いします。」



…いつも通りにその仕事を終わらせてるとか信じらんないんだけど!

オマケに作業報告書も書き終わって、他の書類も出来ちゃってるとか…

チラッと保全管理課が使ってるホワイトボードのの予定表を見たら

いつもと同じか、それ以上の作業が入ってる。



が凄すぎて息をするのが辛い!かもしんない…。」




「えぇ、私上司として、生きていてゴメンナサイ…状態でございます。」



ボク達が言ってる意味がわかんないって感じで首を傾げながら

はコーヒーを手渡してくれた。それをチビチビ飲みながら溜息をつく。



、貴方普段以上に仕事をいれておりますが大丈夫でございますか?

二人がいない状態で大変でございましょうから、私達で出来ることがあれば

遠慮なくおっしゃってくださいまし。」



ノボリ、このスーパーブラボーな仕事っぷりをみて言うセリフじゃないってば

むしろはボク達のデスクに山積みされた書類の入力作業まで

手伝う気満々でいるんだよ?そんな人が手伝って欲しい事なんてさー



「…それじゃあ頼みたい事があるんですがよろしいでしょうか?」



嘘?!この状況で何があるっていうの?ってツッコミそうになったよ!

ノボリと二人で顔を見合わせてたら、頬をポリポリかいて言いにくそうに



「ボス達が仕事を終わったらで良いので、飯につきあってくれませんか?

勿論俺が言い出したんですからメシ代は俺が持ちますが…どうでしょう?」



「その位でございましたら一向に構いませんよ。

まさか仕事に集中したくて私生活を蔑ろにする気じゃございませんよね?」



「それだったらの事どーこー言えない。やめてね。」



どんなに忙しくても突貫作業とかしてても、食事を疎かにしてないのに

やっぱり人手が足りないとそういった時間を削っちゃうのかなって思ったら

は苦笑いをしながら首を横に振った。



「俺はメシを食わなきゃ仕事になりませんからそんな事はしません。

様な芸当はとてもじゃないができませんよ。

ただ、イッシュに来てからずっと誰かとメシを食ってたんで、なんていうか

一人だとメシを食う気にもならないっていうのか…」



「つまり一人だと寂しいから…で、ございますか?」



「……で、ございます…」



うわー、がこんな感じになってるのなんて超貴重かもしんない!

それがすっごく可愛くって、ボクもノボリも悪いけど笑っちゃった。



「どうせガキみたいって思ってるんだろ?恥ずかしいけど認めるよ!

俺は寂しいんだよ、ひとりでこのまま家に帰りたくないんだよ!」



ってば自棄になって口調が友達モードに戻っちゃってるし!

んで、バツの悪そうな顔をしてそっぽを向いちゃった。

それすらもなんだか子供が拗ねてるみたいなんだけど?



「あのね、別に恥ずかしい事じゃないと思う。

ご飯は誰かと一緒に食べる方が美味しいって、いつもいってるでしょ?

ボクもそう思うし、そういうお願いなら喜んで聞いちゃう!」



「えぇ、外食では栄養に偏りがございますのでダメですよ?

今日は私が食事当番で、すでに夕食の下準備は終わっておりますので

よろしければ、家で一緒に食事といたしませんか?」



「…すみませんがよろしくお願いします。」



は何でも出来る凄い人って思ってた。

だけどそうじゃない、人間なら誰だって弱さを持ってて当たり前。

がボク達を信じて頼ってくれてるんだって思えるから嬉しい。

ボク達にその部分を見せてくれたってのが凄く嬉しい。

ノボリもボクと同じ様に感じてるのかな、嬉しそうに笑ってるし。


誰かの為に何かが出来るって嬉しい事なんだね。

大切な人、大好きな人の為ならもっとすっごく嬉しいんだね!