三章・指差確認準備中! 番外編 -藍玉と蒼玉-

三章・指差確認準備中! 番外編

藍玉と蒼玉



が出向を終えてイッシュに戻り、同時にエメットも父さんが残した

私達家族が住む予定だった家へ転居を終え暫くした頃



「…ダス…」



「どうしましたダストダス?これは…ピアスですね。」



ホームを掃除という名の散歩をしていたダストダスが執務室へ戻ってきて

私に見せたものはピアスでした。キャッチ部分が無いので恐らくは

何かに引っ掛けて外れたのでしょう。受け取って良く良く見れば

それはがつけていたアクアマリン…でしょうか、のピアスでした。


出向を終えてイッシュに戻る直前まで、通常業務を行っていた彼女は

何かに引っ掛けてピアスが取れたと言っていましたね。

ピアスホールが傷ついて出血しているにも関わらず、お気に入りだったのに!

そう言って無くした事を悔しがっておりました。

照明にかざして見れば、控えめですが反射する光は決して弱くはなく

まるでこの石自身がである様な…そんな気さえしてしまうとは



「相当重症ですね…」



ハンカチでそれを包み、ポケットに入れて業務を再開させます。

翌日からそのピアスは私の左耳で柔らかな光を反射させておりました。













従兄弟達から呼び出され、ポケモン協会とのトラブルに巻き込まれた翌日

午後の休憩時間にやってきたは私から紅茶を受け取る時に



「あれ?インゴさん、そのピアスって…」



あぁ、すっかり馴染んでしまったソレの存在を失念してました。



の無くした物デスガ、オマエはソレが有るデショウ?」



髪をかき分けて右耳に触れれば、その部分には私の贈った存在が光ります。

文字通りの怪我の功名ですが、あれからずっと身に着けている様ですね。


そのまま応接スペースへ向かい紅茶を飲んでいれば、従兄弟達と

エメットがそれぞれに執務室に入ってまいりました。

は私にごめんなさいと言ってから彼らにコーヒーを手渡し

それぞれに受け取った後で全員が応接スペースのソファーに座ります。

は自然に私の隣に座りましたね…。向かいに座ったノボリがそれを見て

眉間に皺を寄せておりますが、その様な事は気にする必要もありません。


そのまま彼女に向かい



「アレから出血は直ぐ止まったのデスカ?」



「はい、すみませんでした。インゴさんは大丈夫ですか?」



「sizeの違いは仕方が無いデショウ?問題アリマセン。痛みハ?」



「最初に入れられた時は…ホントの事を言うと痛かったんです。

まだちょっと違和感?があるんですけど大丈夫ですよ。」



「オマエのホールが狭いのデス。それは徐々に慣れマス。」



「確かに少しずつ馴染んだ感じはありますけど、存在感はとれませんねー

そういう時はインゴさんの顔が浮かんじゃうんで、効果は絶大ですよ?」



お前はその意味がわかって…いないのでしょうね。

ですが、無自覚でもその言葉は私の心を強く揺さぶるのですよ?

自分でも口角が上がっているのを自覚しておりますが、仕方がありません。



「…ワタクシも、常にオマエを感じておりマスヨ?」



そう言って二人で笑いあってる時、視線を感じたので二人で顔を上げれば

全員が驚いた様にこちらを見ておりました。



「…インゴ、お前と…その…」



「…テメェ等、俺がいる時はそんな素振りも見せてなかったよなぁ?」



「え?ちょっと待って!有り得ない…ってか、エメット!ボク頼んだよね?

任せろとか言ってたのにどーいう事なの?!」



「Stop!ボクだって知らなかったヨ!家でそんな事は無かったんダヨ?!」



「つまりは…ギアステで?!貴方達、神聖な職場で何て事をっ!!」



……これは盛大な勘違いを全員がした様ですね。

隣のを見れば全く意味がわからないと首を傾げておりました。

これは少し遊んでみましょうか。



「ワタクシとの間の事でゴザイマス。一々許可が必要デスカ?

アノ状況では仕方が無い事で、必要だからシタまででゴザイマス。」



「ですがっ!は?貴女も望んだ事…なのでございますか?!」



私に言っても埒があかないと思ったのでしょう、ノボリはに詰め寄ります



「へ?えっと…あの状況なら仕方がないかなぁって。」



の話を聞いて、はどうやら勘違いに気がついたらしく

話に参加せず、ニヤニヤしながら状況を見守る事にした様です。

流石は長い付き合いですね。ですが愚弟とこの連中は未だに誤解をしたままで

いい加減私も相手をするのが面倒になってきました。



3人に詰め寄られて、が私に助けを求める様にこちらを見たので

私はを抱き寄せて、耳元で囁きました。



「連中はオマエとワタクシが事実上の恋人同士になったと思ってマス。」



「へ?」



「先程の会話を思い出しなサイ。」



未だに理解していないを紅茶を飲みながら見つめていれば

段々顔が赤くなって参りましたね。つまりはそう言う事なのですよ?



「ぎゃー!ちょっと待ったーっ!!違います、違いますってば!!

なんでそんな誤解してんのかな?ってか皆さん溜まってます?」



これには私も含め全員が口の中の飲み物を吹き出しそうになりました。

女性であれば、そこは恥じらう部分だと思いますが…。



「つまりはそういう関係ではないと?!」



「そーいう関係ってナニですか?違う違う!私とインゴさんはれっきとした

友人ですってば、フレンド!仲良しさんでっす!!」



そうハッキリと言われてしまうと面白くありませんね…

ですが今はそれでも構わないでしょう。大事なのはこれからですし?



「あのね、それじゃアノ会話はナニじゃないの?」



「ナニってアレですか?違いますってば!仕事中にちょっと引っ掛けて

ピアスを吹っ飛ばした時に血が出ちゃったんです!コッソリ手当するつもりが

インゴさんに見つかって手当してもらったんですってば!!」



「Ahー…アレかぁ…ソレは知ってる。ちょっとゴメンネ?」



エメットがの右側に座り、髪をかき分けて耳たぶのソレを確認すると

他の連中もそれを覗き込むようにしております。

ノボリが私に鋭い視線を向けているのは、この意味を理解してるのでしょう。



「やっぱりつけてたんだネ!」



「無くしたと思ってたピアスは、今インゴさんがつけてますし

ばくりっこ…じゃないや、交換したみたいで面白いですよね!」



私のあげたピアスを触りながらこちらを見たので、答える代わりに私も

自分の左耳に付けられたソレを見せました。



「アクアマリンとサファイヤか…別に変じゃないと思うぞ?」



「コーンフラワーブルーなんざ凄ぇじゃねぇか。」



「最上級のお守りという意味デハには丁度良いデショウ?

、今度はオマエに合わせたピアスを贈りマス。」



「あ、じゃあ私もプレゼントします!すっごいピアスを見つけてきますね。」



、ボクも何か欲しいナ?」



「あー、エメットさんにも凄いプレゼントされちゃいましたからねー

そうだ、あの家に合いそうなキルトのタペストリーとかどうです?」



「Wow!の手作りナラ大歓迎ダヨ!」



「あのね、インゴとエメットだけ狡い!ボクも何か欲しい!!」



「…クダリ、そこは先になにかプレゼントしてからでございましょう?

私も貴女に何かプレゼントをしたいのですがよろしいですか?」



「うわーい、すっごいプレゼント交換?でも誰かから何かをもらうって

ワクワクしますし、プレゼントを選ぶのも楽しいですよねー

んじゃ、皆さんに合わせた何かを気合を入れて考えます!」



軽いノリで喜んでいるとは違い、クダリもノボリも考え込んでおりますね

恐らく二人もこの様なプレゼントには慣れていないのでしょう。

ですがノボリはそれだけでは無い様ですね…



「ノボリ、お前はワタクシがへピアスを贈る事に反対デスカ?」



「…貴方と言う人は…は意味を知らないのですよ?

騙しているのも同然でございましょう!何を考えているのですか?!」



「それはオマエが一番理解してるのデハ?これ以上の会話は不要デス。

ワタクシ達はこれで帰りマス。、気になるならノボリに聞きなサイ。」



にハグとキスをして、私はソファーから立ち上がり

執務室に置かれた鞄を持ちました。

エメットも苦笑いしながら、にハグとキスをして



「インゴも性格悪いヨネ!、深く考えちゃ駄目ダヨ?じゃあまたネ!」



私の隣に鞄を持って立ち、オーベムにテレポートの指示を出しました。

一瞬の浮遊感の後、ギアステに戻り不在時の書類を確認しようと

デスクに向かいましたが、愚弟に呼び止められ



「インゴ、あんまりを苛めちゃ駄目だよ?」



「私なりの意思表示です。には通じてませんがね…」



「だよねー!でもノボリを煽り過ぎだよ。

あのコは君と違って真っ直ぐすぎるんだからね?暴走したら大変だよ。

被害はどうしたってに行っちゃうんだから、それは気をつけてよね?」



エメットにとっても彼女の存在は大きなものになってるのですね。

ですがそれがどの様なものなのか…この男は悟られる真似はしないでしょう。



「暴走…出来るのであればしてみたいですね…。」



「…僕達はあのコ達の様には出来ないからねー。それには同情するよ。」



私から決済の書類を受け取るとエメットは執務室を出て行きました。

残りの書類に目を通しながら、あの後どうなったのかを想像しますが

ノボリは恐らくその意味を教えないでしょうね…。

男女間で1組のピアスをそれぞれに付ける事は普遍の愛を誓った証

無自覚な相手を敢えて自覚させるような愚行はアレでもしないでしょう。



「家に帰ってからの楽しみができましたね。」



帰宅したらライブチャットでもいたしましょう。

その相手がになるのか従兄弟達になるか…今から楽しみですね。