二章・初志貫徹編 番外 -ジェントルマンの置き土産-

二章・初志貫徹編 番外

ジェントルマンの置き土産



マルチトレインの待機要請を受けてカラ、暫くシテ扉が開き

ワタクシはいつも通りの口上を述べるつもりでゴザイマシタ。



「Wow!Challengerッテ、ジェイク達だったノ?!」



愚弟がワタクシの言葉を遮る迄はデスガ…ネ。

後で執務室に戻った時に、キッチリ釘を刺す事にいたしまショウ。



「貴方ハ…確か、シンゲン様でよろしかったでショウカ?

いつユノーヴァに?アチラは二人が不在でも問題は無いのデスカ?」



今の二人の姿はGentleman…デスネ。

ジェイクとシンゲンは顔を見合わせて、笑ってオリマス。



「私達は延び延びになっていた謹慎を受けてるだけでね。

不在でどうこうなる様な指導を部下にはしてないから問題は無い。」



「デスネ、ボクモ ソンナ指導ヲ部下ニハ シテマセン。」



Hmm…二人の雰囲気は異なりマスガ、仕事に対する姿勢は同じ…デショウカ。

自分達の仕事に絶対の自信を持っている様子は好感が持てマス。



「部下は大丈夫デモ、キミ達の上司は今頃慌ててるんじゃないカナ?

アノ二人は誰か不在になった時ニハ、自分達がソノ仕事をするからネ。」



エメットがボールを手の中でクルクルと回しながら言ってオリマスガ

ワタクシも同じ意見でゴザイマス。

アレ等はワタクシ達とは違う意味で他人を頼る事をいたしマセン。



「確かに以前の彼等なら、そうだろうね。

だがねインゴボスにエメットボス、人間とは成長するものだよ?

特にここ最近のボス達は、身近に見習うべき人物がいるせいか

その成長ぶりは目を見張るものがあるしね。」



「ソウデスネ、ボス達ハ 素晴ラシイ勢イデ トップトシテ成長シテマス。

ボク達ヲ含メタ部下逹ハ トテモ頼モシク、好マシク 見テイマスヨ?」



Dear me!オヤオヤ…アレ等もやっとTopとしての自覚が出た様でゴザイマスネ。

部下にそこマデ言われる様になったノハ、アノ三人のおかげデショウ。

執務室で、アレ等の傍で、笑いナガラ…時には諭す様に二人を見つめる彼等を

ワタクシとエメットは思い浮かべマシタ。



「本当ナラ、自力で成長するのが一番なんだけどネ。

アノ二人は割と頑固デショ?今までは信念を通す事とエゴを勘違い?

ソンナ感じも結構あったしネ。

Let me see,さてと…せっかく遥々ユノーヴァまで来てトレインに乗ったんダシ

ボク達ナリの歓迎をさせてもらおうカナ?インゴ、いつもの言っちゃってヨ!」



「オマエに言われなくても、でゴザイマス。

それではお二方、始めさせていただきマスガ準備はよろしいデショウカ?」



ワタクシがボールを取り出せば、目の前の二人も同じ様にボールを準備シマス。

今は従兄弟達の部下という事を忘レテ、バトルにて歓迎イタシマショウ。



「I am a Subway Boss, Ingo.

(ワタクシ、サブウェイボスのインゴと申しマス。

The fellow over to the side is also a Subway Boss, Emmet.

片側に控えるノハ、同じくサブウェイボスのエメットでゴザイマス。

Will a Multi Battle help us cover each other's weakness?

サテ、マルチバトルで我々はお互いの弱点をカバーし合うノカ

Or will you show your overwhelming power?

はたまた圧倒的な攻撃力を見せるノカ?

I look forward to seeing how well you fight.

何程善戦できるかを見るノハ楽しみでゴザイマス。

However, it is difficult to win unless you and

シカシ、アナタ様とパートナー様が全てにおいて息を合わせなけレバ

your partner are in total sync.」

勝利する事は難しいデショウ。)



「Follow the rules. Safe driving!

(ルールに従ッテ、安全運転!

Follow the schedule. Everybody smile!

予定に従ッテ、皆でスマイル!

Check safety. Everything's ready! Aim for victory! All aboard!」

安全確認、準備は全部良いヨ!目指すは勝利!出発進行!)










ノーマルマルチという事もアリ、バトルは私達の敗北に終わりマシタ。

コノ二人のマルチバトルはアノ従兄弟達と通じるモノが有り、楽しめマシタネ。

是非ともSuperデモ、バトルをしたいものでゴザイマス。


駅に戻る迄の間、色々とイッシュでの仕事の話を聞こうと思ってマシタガ

シンゲンで宜しかったデショウカ…彼は運転席傍に立ち、動こうとシマセン。



「彼…シンゲンはさっきから運転士を見てるケド?」



「あぁ、二人は知らなくても当然だね

シンゲンは元々は大変優秀な運転士でね。それがバトルの腕前を見込まれて

トレーナー統括部長をしてるが、時々バトルトレインの運転もしている。」



成程、ソレでバトル中デモ時々運転士の方を見ていた訳でゴザイマスカ。

ソレ程優秀な運転士ナラバ、是非トモ意見を聞かせていただきマショウ。



「シンゲン様、ユノーヴァの運転士は如何でゴザイマスカ?

貴方はバトル中も彼の運転をチェックしてオリマシタ。

何かご意見があるのデシタラ、是非ともお聞かせクダサイ。」



「気付イテイマシタカ、ソウデスネ…運転自体ハ問題アリマセン。

デスガ、バトルノ衝撃ニヨル車両ノ揺レハ モット減ラセルト思イマス。

特二カーブデノ 速度ノ調節ヲモット重要視シタ方ガ 良イデショウ。

各車両毎ノ 加速度ト定格速度、消費電力量ト路線ノ実情ヲ検討シテ

経済運転モ考慮シテ、力行ト惰行トヲ バトル中ノ技ヲ見ナガラ応用シ

VE効果ノ為二 理論ヲ元二シタ シミュレーション…」



「Wait!チョット待ってヨ!今通訳させてモラウ!」



コレは運転士に聞かせるべきデショウ。

エメットもそう判断したノカ、彼の言葉を運転士に告げてオリマス。

運転士同士の情報交換やAdviceがいただけるノハLuckyデゴザイマス。



「シンゲンは相変わらずだね。今日は仕事を忘れてバトルしようと言っていたが

結局はこの有様だ。まぁ、私も人の事は言えないがね。」



「二人共、マルチを組むノハ初めてではアリマセンネ?」



「確かに、元々私達は向こうのボス達がやむを得ずバトルを出来ない時に

マルチでの最終車両手前でチャレンジャーを止める役目もしていたよ。

だが、最近ではマルチバトルを優先する方針をとっているから

ストッパー役はシングルとダブルに譲ったからね、我々の出番は無い。」



Hmm…確かにマルチ乗車中はシングルもダブルも待ち時間が出来てシマイ

非常に効率が悪くなりマス。ソノ方法なら時間短縮になるデショウ。



「ソノ、Stopperトハ?優秀でなけレバ無理ではゴザイマセンカ?」



「インゴボス達もよく知る人物だよ?シングルは課長が

ダブルは主任が其々担当していて、現在も無敗記録を更新中だ。」



「Oh…I see. 成程、彼等ナラ納得でゴザイマス。」



を交えてのマルチバトルでしか対峙してオリマセンガ

彼等もマスターランクのトレーナーデス、当然といえば当然デショウ。

コレハ是非とも其々とバトルをしてみたくなりマシタ。



「トレインの回転率をあげる事もできるから

ユノーヴァでも検討するだけの価値は十分にあると思わないかね?」



「ジェイク、オマエは簡単に言いマスガ、彼等程のトレーナーが

ソノ様に簡単に見つかると思ってるのデスカ?」



「ハハハ、まぁ確かにインゴボスの言う通りだね。

イッシュのバトルサブウェイは運が良かったのだろう。

あぁ、もう駅につくね。シンゲン、そろそろ話を切り上げてもらおうか。」



トレインが減速した頃を見計らって、ジェイクがシンゲンに声をかけマシタ。

その間、シンゲンはずっと運転士と運転理論を話しているトハ驚きマシタネ。



「スミマセン、ボクハ 電車ガ大好キナノデ 夢中ニナッテシマイマシタ。

Mr.エメット、通訳シテイタダケテ感謝シマス。アリガトウゴザイマス。」



「No problem. 問題ないヨ!運転技術に改善の余地がある事がわかったカラ

ボク達の方がキミに感謝しなくちゃいけないネ!」



ホームに到着して、ワタクシ達は先に出て二人を見送りマス。

主力でアル二人の部下が抜けテモ、業務に支障が無い程には

イッシュの業務改善は進んでいる様ナノデ、安心いたしマシタ。



「やっぱりマルチに乗車してましたか。二人共謹慎中は仕事を忘れるのでは?」



ワタクシ達ヨリ年上でゴザイマショウカ、スーツをキッチリと着こなした青年が

二人を見つケテ近づいてまいりマシタ。



「仕事を忘れるとは言ったが、バトルを忘れたわけではないからね。

それなら我々が行く場所など決まりきってるだろう?愚問だ、ジョシュア。」



「仕事馬鹿が抜けたと思ったら、バトル馬鹿は健在ですか。

それで?まさか無様なバトルは晒さなかったでしょうね、父さん。」



「「Father?!」」



ジェイクを父と呼ぶ彼が、元ギアステ職員で現本部勤務の人物ナノデショウ。

Hmm…確かに良く見レバ、容姿も似てオリマス。



「あぁ、インゴボス達は初対面だね。以前はここの人事に席をおいていたんだが

知らなくても仕方が無いだろう。息子のジョシュアだ。」



「初めまして、ジョシュアです。本部でこちらの噂は聞いております。

そして、うちの父がこちらに勤務の時はお世話になりました。」



「Hi!ボクはエメット。ジェイクにはボク達がお世話になったヨ!」



「初めマシテ、インゴと申しマス。貴方のお父様はワタクシ達の指導員で

経営の何たるかを教えていただきマシタ。」



其々と握手を交わしてカラ、ワタクシ達の言葉にジョシュア様は苦笑いシテ

ジェイクを指差しマシタ。



「実の父ですが、指導なんて生易しいものではなかったでしょう?

彼は見込みの有る人物程、チェックが厳しいですからね。」



「ジョシュアも?」



「ご存知の通り、父は仕事中心の人ですからね。

たまの休日も幼少時にはバトルについて、旅を終えてからは

仕事人たる者の心構えや知識なんかを徹底的に叩き込まれましたよ。

おかげで現在の僕があるわけですけど、よくグレなかったと思います。」



「甘やかすだけが愛情ではないからね。それは母親の役目だ。

私は父として、社会人の先輩としての全てを叩き込んだつもりだが?」



二人のやり取りの中に、昔は確執めいたものがあったと理解デキマス。

話を聞いて、ジェイクとワタクシ達の父親の姿が重なりマシタ。

デスガ ジェイクの息子を見る瞳は

決して厳しさだけでは無いノハ、誰が見てもわかるデショウ。



「フフッ、ジョシュアヲ 想ッテノ事デス。

…ジェイクハ トテモ愛情深イケレド ソレヲ表現スルノハ 苦手ナンデス。

仕事以外ハ 不器用ナ男デスカラ。」



不器用…デハ、ワタクシ達の父親もそうだったのでショウカ?

もしそうであるナラバ、最期の言葉も不器用な父親の言葉とシテ受け取れマス。

バトルを教える事で、ワタクシ達への愛情を表現していたのかもシレマセン。

そう思える様になる位ニハ、ワタクシの傷も癒えたのでショウカ?



「さぁ、孫達が祖父ちゃん達がこないと騒いでますからね。

お義父さんも、写真でしか見た事がないでしょう?

あれから随分大きくなりましたから、ビックリしますよ?」



「ソレハ楽シミデスネ。デハジェイク、ソロソロ行キマショウカ?

オ二人モ、素晴ラシイバトルヲ アリガトウゴザイマシタ。」



「久しぶりに、パートナーと共に心躍るバトルを堪能させてもらったよ。

インゴボスとエメットボスのプレイスタイルは実に面白かった。」



「ボク達も規定だから負けたケド、楽しかったヨ!」



「機会がありましたナラ、是非今度はSuperにもご乗車願いマス。」



それぞれに握手を交わし、三人はホームを出て地上への出口へ向かいマシタ。

その姿を見送っていたエメットが不意にワタクシの方へ向き直りマス。



「父さんが死んでなかっタラ、ボク達もあんな感じになってたカナ?

バトルの話をしてボク達を見ていた顔と、ジェイクがジョシュアを見てた顔が

なんだか同じに見えたんだヨネ。だからもしかしたら…って思っチャッタ。」



「…今となっては、ソノ答えは出るはずもアリマセン。

元々愛情深い人物だったトハ、おじ様もおば様も言ってオリマシタ。

可能性はゼロではなかった…それだけで十分でゴザイマス。」



「…そう…ダネ。そう思ってテモ良いヨネ?ウン、それでOKダヨ!」



姿の見えなくなったホームに二人で並び、互いに頷き合えば

心の中の冷え切った部分がほんの少し、温もりを取り戻した様な気がシマス。

元部下親子を見て、その様な愛情の形を知っただけデモ今は満足でゴザイマス。