二章・初志貫徹 番外編 -格闘王への道?-

二章・初志貫徹編 番外

格闘王への道?



エントランスで大立ち回りをやらかした後、職員さん達の視線が痛かった。

普通は人間がポケモン…それも格闘タイプに格闘で勝利とか有り得ないよね!



「えっと、さん…ですよね?ちょっとお話があるんですが…」



午後休憩の時間になって、仕事場に戻る途中に呼び止められたんで

なんじゃらほいと振り返れば、トレインに乗車してる皆さんだった。

私何かしたっけ?まさかまた大掃除をしなきゃとか?それは勘弁だよ!

取り敢えず促されるままついていけば、そこはちょっとした武道場?

目の前ではバトルガールの人達が組手をやってるし。


私の姿を見て、立ち上がって近づいてきた人はカラテ王さんだっけ?

なんだか手を握られて、問答無用でシェイクハンズとか何?

私の戸惑いを他所にカラテ王さんは凄い勢いで話し始めた。



「エントランスでの立ち回りを拝見しました!

見事な投げ技と蹴り技に、一度お話を聞かせてもらいたくて…

貴重な休憩時間に態々御足労いただき、ありがとうございました!」



見事に直角?って感じで礼をされてビックリだよ!

コーヒーの入った紙コップを受け取って勧められたパイプ椅子に座る。



「いやいや、我流の喧嘩技?そんな感じなんで全然ですよ。

えっと、私は何を話せば良いんでしょうか?」



「あの時は蹴り技と投げ技が中心だったので、その辺を聞きたいと…

やはり幼少の頃より武道を嗜まれてたんでしょうか?」



確かに私はリアルバトルの時は投げと蹴りメインだからねー。

殴ったって、この体格からの威力なんてたかがしれてるし?

一応生物学的には女で、体格的には小さめなカントー系だし。



「えー?その辺の話は恥ずかしいんですけどねー。

昔はヤンチャしてたんです。んで、腕力でも負けたくないってんで

知人から色々と喧嘩技を叩き込まれたんですよ。

体格的な問題もありますからね、得意としてるのは蹴りと投げ技です。」



私を取り囲むようにして、バトルガールのお嬢様達やカラテ王のお兄様達が

全員揃って椅子持参で集まってきちゃったよ!

ヤンチャって言葉に成程とか納得しないでー、目指してるのは乙女なんだから!



「だけど、ナゲキとダゲキへのダメは結構あったでしょ?

それって、何か特殊な方法があったりしちゃうの?」



バトルガールの一人がお茶請けにってイカリせんべいを勧めてくれたよ!

うわーい懐かしい、これってお茶と無茶苦茶あうよね!

あんまり好んで飲まなかったけど、今は緑茶が欲しいぞー。



「久々に食べたけどイカリせんべい美味しー!

っと、ごめんなさい。えっと投げ技のダメが出たのはあっちのパワーのせい?

私の投げ技は相手の力を利用して、ダメを与えるんですよ。

まともに立ち向かったって、与ダメなんて大した事ないですしねー。」



「確かに女だから力はどうしても勝てないわよねぇ…

蹴りの威力は?膝蹴りも凄かったけど、ハイキックも凄かったわよね?

ダゲキやナゲキって筋肉凄いから、下手すると足を痛めちゃうんじゃなくて?」



やっぱりそれは格闘の専門家さん?から見たら不思議に思っちゃうよねー。

まぁぶっちゃければ、それは私の足が丈夫なわけじゃないんだし?

勧められるまま二枚目のイカリせんべいをボリボリしながら

私は自分の靴を指さした。これって、ギアステ特注の安全靴なんだよね。



「私達は作業するにあたって安全靴の装着が義務付けられてますからねー。

これって、つま先に鉄板が入ってるんですよ。

見た目からじゃわかりませんが、結構重いし硬度も十分にあるんで

それがダメージ増強に一役買ってたんです。」



私の足元を見て全員がおー!とか歓声を上げるのは恥ずかしいからやめてー。

その後も色々聞かれて、実はって感じで色々話して一段落したんだけど

素直に仕事場には帰してもらえなかった。



「オレ達、是非手合わせしたいと思ってたんすよ!

軽くで良いんで、ここの連中と手合わせしてもらえませんか?お願いします!」



全員が綺麗な直角を描いて一礼とか、流石武道家?いやいや、待って!

そんなリアルバトルの専門家と立ち回りなんて無理だってば。

そう言って、何度も断ったんだけど気がついたらバトルガールの一人から

カンフーシューズを借りて広いスペースに立ってたよ!



「…それで、私はどーすれば良いんでしょうか?」



うん、こんな事聞いても仕方が無いよね?

私に何をさせたいって言うの?つーか、全員が私を取り囲むとか何?



「どーせなら、アタシ達全員を相手に勝負ってのは?」



「うんうん、勿論手加減はするから身体の流れとか動きを見せて?」



あ?手加減ですと??

ちょっと待ってねー、私の耳がおかしくなったわけじゃないよね?

これって、舐められてる?確かに体格的にここの皆より劣ってるけどさ

慢心する事は駄目だって習わなかったのかな?



「いや、別に手加減とかいらないですよ?そーですねぇ…

一人ずつとか面倒なんで、まとめて来ちゃってもいいですよ?」



うわーい、私の大馬鹿者!なに挑発してんのーっ!

皆の目つきが変わったよ、地雷踏んだ?逆鱗触っちゃった??

あー、もうこうなったら徹底的にお相手してあげましょうとも!


どうぞって私の声に、まずはバトルガールの皆さんがかかってきたし。

相手の攻撃を避けながら、腕を取って投げたり足払いをかけたりして

蹴散らさせてもらったよ、それしか方法がないんだもん!



「私のリアルバトルは急所攻めなんで、こういう組手は苦手なんですって!」



「そう言いながら、なんだかんだでやりあってるじゃないっすか!」



取り敢えず、怪我はさせないように安全運転で出発進行しましたとも。

鍛えてる人達だから、多少のダメを与えちゃったけど大丈夫だよね?

傷害罪で逮捕とかだけは絶対避けたいんだから!


いつの間にか相手がバトルガールからカラテ王の皆さんに変わってたよ。

流石に蹴りとかが重いから、食らったらこっちもタダじゃ済まないしね。

隙の出やすい大技を避けて、相手の力を利用して投げ飛ばしたり

膝蹴りを決めたりしてたけど、流石に疲れてきたかもしんない。



「やっぱり強くても女っすね、体力的にキツくなってんじゃないっすか?」



そういうのを観察するとか、カラテ王は伊達じゃないね!

だけどね、その辺の弱点の対策だってバッチリなんですよ?



「んじゃ、ここからギアチェンジさせてもらいますよー。

余計な体力使ってこの後の仕事に支障がでるとか、洒落にならないし!」



掴みかかろうとする相手の背後に回って腕を捻りあげて

関節が外れるギリギリで手を止めるってのを繰り返したり

鳩尾に手加減しつつ膝蹴りをいれて相手を沈めているうちに

武道場みたいなスペースに立ってるのは私だけになっちゃったよ!



「うわわ、すみません!ちゃんと力加減してるはずなんですけどー

えっと、皆さん生きてますよね?骨折とか内臓損傷ないですよね?!」



「ちょっと休めば平気っす…イテテ…ここまでやられたのは久々っすよ!」



「ってか、力抜かれてる?ちょっとやだ、立ち直れないかもしれないわー」



「今日はちょっとトレインに乗るのは無理かもしれないですぅ…」



がギアステで一番リアルバトル強いんじゃないかしら?」



ぎゃー!こんなのボス達にバレたらまた説教喰らうでしょー!

って、私が一番なわけも無いでしょー!



「いやいや、うちの主任と課長に私勝てませんから!

私のリアルバトルはあの二人に徹底的に叩き込まれた賜物ですから

どーせなら、この次は私じゃなくてそっちに挑戦するといいですよ?

色々と弱点とか教えてくれるし、参考になりますよー。」


私の言葉に全員冷凍ビームをくらったみたいに凍りついたけど、どーして?

何も変な事は言ってないと思うんだけどなー。

ちょうど休憩時間も終わったから、イカリせんべいのお礼を言ってから

借りた靴を返して、仕事場に戻る事にした。

また時間があればリベンジさせてとか言われたけど、丁重に断りました!


んで、それから暫くしてわかった事なんだけど

あの袋叩きの様な組手が実は職員さん達のパソコンに映像で流れてたとか…

格闘王決定戦!勝つのは誰だ?!とかご丁寧にタイトル付きとかやめてー!

職員の皆さんの視線が痛いものから、怖いものを見る目に変わってたし。


勿論、ボス達がそれを知らないわけもなくて

何をやってらっしゃるのでございますかー!って黒ボスの正座付きの説教と

白ボスの今度組手しよーね!って天使のスマイルを食らったなんて言えない…