2014 Valentine Day------Sweet World

2014 Valentine Day

Sweet World



荒涼とした空間のあちこちが鏡面の様になって様々な世界が映し出される。
ここは我の為に作られた空間。誰も踏み込もうとすら思わぬ場所。

不意に、ひとつの場面が目の前に現れた
これは我が君の仲間のいる場所だろう。見慣れた連中が揃っている。
意識を集中させれば、彼奴等の会話が聞こえてきた。

『なんだ?インゴにエメット…そんなに息を切らせて何かあったのか?』

我が君と良く似た髪をした、ディアルガのマスターになっている男
彼奴…はなかなかどうして、見上げた性格の持ち主だ。

は今日はどこに行ったのデスカ?正直に答えナサイ。』

『ボク達の誘いを断るって事は予定があるんデショ?
今日はValentine Day を誘った相手って誰ナノ?』

『それにつきましては、私も是非教えていただきたいと思います。』

『うん、ボクもすっごく気になる。だって、凄くウキウキしてた。』

同じ容姿を持つ、二組の双子…我が君を憎からず思ってる様だが
とんと相手にされてないのは、なんとも哀れだ。

『それについちゃあ、別に気にする程でもねぇから安心しろ。
のデートの相手ってのはこの世界にいねぇ、あいつの手持ちだ。
今頃、向こうの世界から俺達を見てほくそ笑んでるんじゃねぇか?』

…パルキアを徹底的に叩き伏せて服従させたこの男…は侮れぬ。
奴が実は一番我等の扱いを心得ているのかもしれぬがな。

我が君…哀れな…余りにも哀れで、それでも健気な魂をもつ人間
アルセウスが情けをかけずにはおれなかった程のその境遇は
この世界で見ていた我も胸を締め付けられた。

アルセウスがこの世界に招いた時に、その魂は消えかけていた。
それでも、我が君の仲間の手によって辛うじて存続したその姿に
我は共にある事を望んだ…その時の我が君の驚きは今も記憶に新しい。

我を呼ぶ声に魂が震えた。我に触れる手の温もりに魂が踊った。
共鳴とでも呼べば良いのか…その現象の答えを我は知らぬ。
だが、我が君と共にある事を後悔する事だけはこれからも無いであろう。

──ギラティナ…、そっちに行きたいんだけどいいかな?──

思考の海に沈んだ我を、柔らかな声が呼び戻す
嗚呼…その声を聞くだけで我の心は幸せというものに満たされる。

空間を開くと、両手に抱えきれぬ程の荷物をもった我が君が現れた。
風に踊る射干玉の艶やかな髪を抑え駆け寄る姿は、何よりも愛おしい。

「ずっと会いに来れなくてゴメンネ?
今日はいい物を持って来たから、皆でのんびりラブラブしようね!」

そう言って、我らを封じる封印玉より眷属を出す。
どれも、我が君が愛して…そして彼奴等も我が君を愛しておる。
我らの同胞は未だに慣れぬこの世界に戸惑いつつも、我が君の傍に擦り寄る。

荷物から取り出したそれは菓子なのであろう、それを手渡しながら
それぞれを見つめる瞳のなんと慈愛に満ち溢れていることか。
人間にしておくには誠に惜しい存在と常々思う。

「神様、今日はね、お母さんが皆で一緒にゆっくりしようって。
神様はずっとここにいて、お母さんと余り一緒にいられない、寂しい?」

他の眷属は我の特性故に傍に近づく事もせぬが、この小さき鳥は違う。
我が君の眷属の中では新参であるが、その意気や好ましくもある。

「我は自ら望んでこの世界におる。が、寂しくないといえば嘘になる…か。」

「ふぅん…あのね、お母さんはあっちにいる時も必ず神様の事話してるよ?
今日もね、神様に喜んでもらいたいっていっぱいお菓子作ってきた!
神様はお母さんが好き、お母さんも神様が好き。ボクも神様が好き!
好きって気持ちは心が暖かくなるから好き!」

「そうか、主は我が君が好きか。我と一緒だ。」

我の言の葉に力強く頷く姿は愛らしい。
思えばこの小さき鳥も哀れであった。我が君に消えぬ傷跡を残した事は
誠に許しがたいが、我が君を思えば…そして今の彼奴を見れば
許さざるを得ないのであろうな。

『ネイティ!こっちに来ないとあなたの分を皆が食べちゃうよー。』

我が君の声に、小さき鳥は慌てて戻っていく。
入れ違うように我の元へ来たのはこの世の創世主…アルセウス…

「ギラティナ、久しいですね。世界の異常な歪みはありませんでしたか?」

「それは主が一番良くわかっているであろう?」

「フフッ、そうでしたね。嗚呼…久しぶりに、ぼぉるから出ましたが
やはり外界は心地良い…暫しの時、こちらに腰を据えるのも良いですね。」

我の横に腰を下ろし、我が君と眷属達のやり取りを見る目は慈愛に満ちている。

「例え封印具に閉じ込められようと、主は我が君と共に有ると望んだであろう?
我はそれすら叶わぬ。我がこの世界より出ずれば、歪みが大きくなる。」

「そうでしたね。其方に比べれば恵まれておりました。」

たわい無い遣り取りですら、我等の間には無かった事
それが我が君と共にあると互いに望んだ縁から可能になった事
この世界に未だかつてない程の甘やかで柔らかな暖かな風が吹く

『お待たせー!イッシュに来てから色々あって会いに来れなくてゴメンネ?
今日はね、向こうの世界ではバレンタインデーって言って
大好きな人にチョコレートを渡して告白したり、プレゼントする日なんだ。
だから、絶対こっちに来たかったんだよねー。』

そう言って、我が君が傍にきて我の身体を抱きしめる。
幽き力のはずなのに、それは我の魂を縛り付けるには十分な強さだ。

『さて、ポロックとポフィンは前に食べた事があるよね?
今回は新作があるんだよー、っちに教えてもらって
カロス地方?って所にある、ポフレってポケモン専用のお菓子なんだけど
これが種類がいっぱいあってねー、どれも可愛いし、美味しそうなんだ!』

そう言うや否や荷物から目新しい菓子を取り出すと
我とアルセウスの前に広げ、好きなものを食べろと差し出す。
色とりどりのそれは我が君の手で作られたものなのであろう。

…我に選んではくれませぬか?
これ程の数を目の前にして、選ぶのは少々難儀というものですよ?」

我が君は少々悩んだ後、小さな飾りのついた菓子を差し出した。
そのまま一息に口の中に入れた後、アルセウスは微笑む。

「嗚呼…これは美味ですね。が作ってくれた故、の手から故
より美味に思われてなりませぬ。、もうひとつ所望します。」

『うわーい、その殺し文句にメロメロになりそうだよ!
どんどん食べて言いんだからね?ギラティナ、あなたはどれにする?』

「…我も、が選んだ物を所望する。」

悋気と言うものであろうか…我は我が君に関する事には余裕が無い。
それを察したアルセウスの薄笑いが気に入らぬが、詮無い事。

『うーん…ギラティナにはこれかな?クリーム付きで見た目も可愛いし
可愛いギラティナにはぴったりだよ!はい、どーぞっ。』

我の気も知らぬ我が君は、誠に呑気者であろう…それすら愛おしいのだが…
差し出された菓子を一気に口に入れ、我が君に頬擦りすれば
擽ったそうに笑いながら、尚も頬寄せて返す仕草も愛らしい。

『いやーん、ホントにギラティナって可愛いよね!
もう、今日はずっと一緒にいようね?』

そのまま、我の横に寝そべると再び菓子を差し出した。
請われるままに口にすれば更に我が君の笑みが深くなる。
我も隣に寝そべれば、共寝している様で心が騒ぐ。

『ギラティナ…寂しくない?貴方は本当は誰かの物になる子じゃないでしょ?
それなのに、私の手持ちになって後悔はしてない?』

我の方を向き、我が胸に顔を寄せながら我が君は目を伏せた。

「我はと共に在りたい。人間の時は儚く我等にとって夢幻の如く也。
それ故、我等は人が愛おしく、が愛おしい。」

か細き身体を腕の中に閉じ込めれば、我の鼓動との鼓動が重なる。
その響きのなんと甘き事よ!

『そっか、貴方は残されてばかりなんだね…辛いね、大変だね…。
貴方の心からの平穏はいつかは来るのかな?来て欲しいと思うよ。』

我の腕の中で瞳を閉じるは知らぬ。
我々は人とつがう事が可能である事、婚姻を結べる事を。

未だかつて、我はそれを望んだ事は一度たりとも無かった。
しかし、よ…我が君よ。主が望めば、我は喜んで共にあろうぞ。

だが、まだ時は至らぬ。その時が訪れるのか否かは自身が決める事

我が望むは、の僥倖。
我の求めるは、の望む未来。

その先が我と共に歩む道か否か…今はまだ知る必要もない事。
小さき体を抱きしめて、我はその未来を夢見て目を閉じた。








当作品のお持ち帰りはリクエストしてくださった方のみですので
どうぞご了承の程、お願いいたします。

長編の平社員さんでマスボスのお誘いを断って、手持ち達とイチャイチャ甘々という
ゆうき様のリクエストを受けて、全力で頑張ってみました。
ゆうき様からこのリクエストを頂いた時、うっしゃあぁああ!と拳を握り締めたのは内緒です(笑)
実はずっと考えてたネタだったんですよねー、でも少々特殊なのでお蔵入りしてました。
視点もお任せだったので、最初はゆうき様の推しメン…もとい推しポケのネイティでしたが
「お母さんと仲良しはボクじゃないとダメーっ!」と駄々をこねて話が進まなくて…(汗)
急遽、反転世界で一人待ちぼうけ状態のギラティナさんにチェンジしました。
そうしたら今度は暴走するする!まさかの異種恋愛にまで発展したよ!(笑)
でも、ぶっちゃければ管理人は異種間恋愛とか擬人化も大好物なので
管理人的には実に楽しく書かせていただきました。(をいw)
問題は、ゆうき様がどう思うか…それだけでございます。(オロオロ)
ゆうき様、リテイクはいつでも受け付けておりますよー!
このような作品になりましたが、どうぞご笑納くださいませ。

そして、サプライズプレゼントを押し付けさせて頂きます!
一ヶ月後のホワイトデーですが、こちらも企画を用意してありまして
バレンタイン企画に参加して頂いた方全員に、同設定での逆バージョンor逆視点での
ホワイトデー用のお話をご用意いたしますので、そちらもお受け取りください。
その際、内容変更のリクエスト等についても承りますので、お気軽に連絡をくださいませ。

ゆうき様、企画参加本当に有難うございました!
また何か企画する時がありましたら、どうぞ参加してくださいませ。(平伏)