2014 Valentine Day
Sweet Room に誘われて
ライモンシティは眠らない街として有名だけど
ポケモンセンターはどの地域でも眠らないから変わりは無い。
「さん!こっちのチョロネコを集中治療室へ!
向こうのチラチーノは回復が終わったら一般の治療室へお願いします!」
イッシュ地方の恋人達が甘い時を過ごすバレンタインデーでも
ここの忙しさはそんな事は関係なくて
私は瀕死状態のチョロネコをストレッチャーで集中治療室へ運んでから
回復が終わったけれど、意識の戻っていないチラチーノを抱えて運ぶ。
嵐の様に時間は過ぎて、帰宅するのにロッカーに戻った時には
いいだけ夜も更けてしまっていた。
マナーモードにしていたライブキャスターをみればメールが1件
相手は恋人のノボリさんからだった。
『お仕事お疲れ様でございます。
何時になっても構いませんので、終わりましたら連絡をくださいまし。』
休みも仕事の終わる時間も不規則な私達だけど
今日の日は何時になってもいいから会おうと約束してたっけ。
連絡を入れれば、ワンコールでノボリさんが出た。
『様、お疲れ様でございます。お仕事は終わられましたでしょうか?』
画面に映ったノボリさんは私服姿だったから家に戻っているのかな?
明日も二人共仕事だから、これはちょっと顔をみたらすぐにお暇しなくちゃ。
「今着替え終わって、ポケモンセンターを出たところです。」
『ではそのまま家にいらしてくださいまし。お待ちしております。』
通話をオフにして彼の家へ向かう。
歩いて数分で玄関前に着いた私がインターフォンを押せば
エプロン姿のノボリさんが迎えてくれた。
「外は寒かったでございましょう?早く中に入って温まってくださいまし。」
コートと通勤用のカバンを私から取り上げて、背中を押すように中に通される。
ダイニングには出来上がったばかりの食事がセッティングされていた。
それも、私が普段食べている様なメニューじゃない。
前菜、スープ、メインディッシュ、そして多分デザートもあるんだろう
部屋の中に甘い匂いが少し残っている。
その豪華さに驚いて目を瞬かせていると、隣で申し訳なさそうな声がした。
「本来バレンタインでございますので、ディナーを予約したかったのですが
私も様もお互いに多忙な身上でございます。
なのでせめて雰囲気だけでも思いまして、私が作らせていただきました。」
「凄すぎです、ノボリさん。私だったらこんな料理作れませんよ。
でも、これだけのメニューを一人で作るのは大変だったでしょう?」
本来なら睡眠や休息に当てる時間をこのために削ったみたいで
ノボリさんの目がすこし充血している。その目を綺麗に細めて
私をそっと壊れ物でも扱うかの様に抱きしめた。
「最愛の恋人の為でございます。大変だなど感じる事すらございませんでした。
様に喜んでいただけるのでしたら、瑣末な問題でございます。
さぁ、温かいうちに食べてしまいましょう。」
テーブルへエスコートされて席へ付けば、アペリティフのキールまで出てきた。
ここまで本格的にするとか、ノボリさんはやっぱり凝り性ですよね。
用意された食事の全ても、その辺のレストラン顔負けの味でした。
せめて後片付けでもと申し出たんだけど、今日はダメですと言われて
リビングのソファーに追いやられてしまった。
そのまま座ると、そばに彼のポケモン達が寄ってくる。
部屋に来た時恒例の簡単なメディカルチェックをしながら
全身を軽くマッサージしてあげる。
毛並み、毛艶、筋肉の張り、どれをとっても全く問題がないのは流石です。
最後のシャンデラのチェックをしている時に、横からノボリさんの手が伸びて
シャンデラはボールへ戻されてしまった。
辺りをみれば、今迄出ていたポケモン達は全てボールに戻されていた。
「ポケモンのチェックも有難いのですが、私にも目を向けてくださいまし。」
私の前にノボリさんが跪いて見上げてくる。
やっぱり目の充血が気になるかもしれない。それになんだか顔も赤い?
「えっと…ノボリさんちゃんと昨日は寝ましたか?
目が充血してるのがすごく気になっちゃうんですけれど…」
そっと頬に手を当てればその上からノボリさんの手が包み込むように触れる。
「今日の事を…様と久しぶりの逢瀬を考えてしまい、眠れませんでした。
ですが、仕事に支障が出る様な事はございませんので安心してくださいまし。」
そんな言葉を言われちゃうと、すごく恥ずかしいけど嬉しいです。
「後、なんだか顔が赤いんですけれど…」
「愛する人を前にして平静ではいられません。
…もっと会いたい、触れ合いたいと思ってるのは私だけでございますか?」
触れたままの手を自分の胸に移動させながらノボリさんは微笑んだ。
掌から、彼の鼓動が感じられるけれど凄くドキドキしてる…?
「ノボリさん…すごくドキドキしてますけど…これって…」
流石にこの場面のこの状況だから、答えなんてわかりきっているんだけれど
そこは悲しいかな、ドクターという職業病とでも言うものが出てしまう。
「えぇ…今宵はこのまま様と過ごしたいのです。
私を見てくださいまし、感じてくださいまし、…愛してくださいまし。」
明日の自分の仕事とか、ノボリさんの仕事とかが一瞬頭に浮かんだけど
こんな懇願するような目で言われたら、私は完全に白旗をあげるしかない。
「多少でも良いですから…睡眠時間は確保してくれます?」
そのまま、ノボリさん首に両手をまわしてから耳元で囁けば身体が宙を浮く。
まるで重さを感じていない様な足取りで向かうのは勿論寝室で…
「最大限の努力は致します。ですが…万が一の場合はお許しくださいまし。」
いつもよりも少し掠れて聞こえる声を耳にして
これはきっと寝かせてもらえなんだろうなと、変な覚悟を決めて
私は返事をする代わりに彼の胸に顔を埋めた。
当作品のお持ち帰りはリクエストしてくださった方のみですので
どうぞご了承の程、お願いいたします。
乙女なノボリさんとお部屋でデートという、みん様のリクエストを受けて
頑張っていつもより糖分過剰気味にしてみましたが、甘くなってるでしょうか?
甘い話が苦手でウンウン唸ってた時に、いっそのこと発想を変えてみようと思い
通常のネタモードを乙女フィルターにかけたらなんとか出来上がりました。
ちなみに…ネタの内容は逆新婚さんモード&逆お医者さんごっこです!(笑)
そんな訳で(どんな訳だとかツッコミはご容赦をw)みん様にポケモンセンター勤務医として
作中に登場してもらう事になりました。もっとお仕事の描写を書きたかったのですが
それをやってしまうと甘さが行方不明になりそうだったので割愛させていただきました。
この様な作品になりましたが、どうぞご笑納くださいませ。
そして、サプライズプレゼントを押し付けさせて頂きます!
一ヶ月後のホワイトデーですが、こちらも企画を用意してありまして
バレンタイン企画に参加して頂いた方全員に、同設定での逆バージョンor逆視点での
ホワイトデー用のお話をご用意いたしますので、そちらもお受け取りください。
その際、内容変更のリクエスト等についても承りますので、お気軽に連絡をくださいませ。
みん様、企画参加本当に有難うございました!
また何か企画する時がありましたら、どうぞ参加してくださいませ。(平伏)