2014 Just Marriage!
Paper Wedding
朝食の後片付けをしてるノボリさんはいつもの事なんだけど
なんだか嬉しそうに歌を口ずさんでる所なんて、始めて見たんですが?!
「、どうかなさいましたか?」
「いや、私はどうもされてませんけど…
ノボリさん今日は朝からご機嫌ですね、何か良い事ありました?」
「ふふっ、と結婚してから毎日が良い事ばかりでございますよ?」
……あー、聞かなきゃよかった。この人は時々信じられないくらい
小っ恥ずかしい事を平気で口にするのを忘れてたよ!
聞かなかった事にして、昨夜終わらせた書類を確認してカバンに入れてたら
更にクスクス笑われちゃったよ!畜生…。
「おはようございまっす!課長、ノーマルシングルのホーム下の
配管交換での保温の見積書が出来たんで、確認してください。」
ギアステに着いてから、作業服に着替えて書類を持って執務室に入る。
なんだか雰囲気が違う様な感じがするのは気のせいかな?
「おはよー!ちょっと話があるけど良いかな?」
書類を課長に渡してから、主任を交えて仕事の予定を話してたら、
私の分の紅茶を持って白ボスが話しかけてきた。なんじゃらほい?
「あのね、今日仕事が終わってからラムセス達と一緒に買い物するんだ。
その後で晩御飯も一緒に食べるから、今日はボクの分のご飯いらない。」
晩御飯はクダリさんの分もいつも作ってるから、予定が入ると
こうやって言ってくれるんだよね。
そっかー今日の夕飯、二人分なら何作ろうかなー。
あ、そういえばちょっと面白い物をこの間もらったんだっけ…
丁度良いタイミングだし、やってみよう!
「あ、わかりましたですよー。あれ、黒ボスは?」
そんな事を考えて、受け取った紅茶を飲んでから気がついたけど
いつもならこの時間、デスクに向かって朝イチの書類を見てる人がいない。
「ノボリはトレーナー統括部とちょっと打ち合わせがあるって言ってた!
そのまま朝礼に行くって言ってたから来ないけど、寂しい?」
「寝言は寝てから言え!ですよ?
今日は、何だか朝から変にゴキゲンな黒ボスを見ちゃって
世界の終わりが近いのか?!とか思ってたんですから。
そだ、白ボスは黒ボスの機嫌が良い原因ってわかります?」
「…うーん、わかんない?ってか、に心当たりは無いの?」
「全く、綺麗さっぱり、見当もつきませんけど?」
「…ふーん。でもそんなノボリを朝から見るとか大変だったかも?
んじゃ、ボク朝礼に行ってくる!課長、出発進行だよ!」
「…了解。んじゃ何かあったらインカムに連絡をくれ。」
「わかったよ。」
「ほいほーい。んじゃ、私は作業部屋でちょっと材料加工してますー。」
いつもなら休み前って結構バタバタするんだけど、今回は違うんだよねー。
この分だと、今日は定時で帰れるかもしんないから頑張ろうっと!!
そんな事を考えながら、私はのんびりと作業部屋に向かった。
朝礼前にトレーナー統括部に行けば、何か問題が?!と驚かれましたが。
私の非常に個人的なお願いを申し出ると、快く了承していただけました。
総務部長にはシンゲンが話すと言っておりましたが、ここは私自らが
お願いに当たるのが筋でございましょう。
朝礼の終わった後、同じ事をお願いすれば少々驚かれておりましたが
快く了承していただけました。良き部下を持って私、幸せでございます!
「ただ今戻りました。不在中変わった事はございませんでしたか?」
執務室に戻り、待機要請が無いので制帽とコートをハンガーに掛けて
不在中の事を聞けば、クダリが困ったような顔をしております。
保全管理課の二人は既に仕事に行ってしまわれたのですね。
彼等にも色々とご協力いただけて、非常に嬉しく思います。
「んー、ノボリが涙目になりそうだから言いたくない。」
「クダリ?」
デスクに座って、書類に目を通しながらコーヒーを飲んでいる私に
クダリが、非常に言いにくそうに切り出しました。
「あのね、に今日はご飯いらないって言っておいた。
ノボリ朝からすっごいご機嫌だったって聞いてる。でもわかってない。
全く綺麗さっぱり見当もつかないって言われた!」
「あぁ、やはり忘れてらっしゃるのでございますねぇ。」
はそういう自分の関与する個人的な記念日に疎いのです。
始めて出会った日、プロポーズした日、私は全て覚えておりますがね。
なんとなく予想はついておりましたので、特に涙目にもなりません。
「ってそう言う所、ちょっと直したほうが良いと思う。
結婚記念日ってすっごく大事!初めてだったらもっと大事!」
「それは人それぞれでございましょう?別に構いません。」
「ノボリ、今年度の車両点検日決める時に頑張って休みを調整した。
今日だって、定時で上がれるようにって頑張ってる。
皆だって協力してくれてるのに、ってば無神経すぎる。」
「…クダリ、私の妻をそれ以上悪く言わないでくださいまし。
にとっては結婚1周年は通過点に過ぎないのでしょう。
彼女がどう思っていても良いのです。ただ私が祝いたいだけなのです。」
「だけど、それじゃノボリが…」
私が今日をどれだけ心待ちにしていたかを知ってるから
クダリはこうして私の為にを非難するのでございましょう。
ですが、本当に、ぶっちゃけて言うなら、はどうでも良いのです。
「私とが出会って、想いを通じ合って、夫婦になった。
彼女の事情を考えれば、これは奇跡以外の何物でもございません。
私はただ伝えたいだけ…と共に在る事、同じ人生を歩める事
それがどれだけ嬉しいことなのか、どれだけを想っているのか
つまりはそう言う事なのでございます。」
両手を胸に当て目を閉じれば、出会ってから今日までの出来事が
次々と思い出されます。それら全てが私にとっては宝なのです。
「あーもう!ノボリのそんな顔見てたら、もう何も言えない。
そうだよね、ノボリは頑張ったもんね。諦めなかったもんね。
の事、悪く言ってゴメンネ?ボクもが大好きだよ!」
何度も心が折れそうになりました。それを知ってるクダリだからこそ
今の私の気持ちも一番理解してくれるのでございましょう。
「ふふっ、ありがとうございます。
さぁ、今日は私絶対定時で上がらせて頂きますが
バトルでも、誰にも負けるつもりはございませんからね?」
「あはは!ノボリすっごい本気!!」
「えぇ、すっごい本気でございます!」
今日の私はいつも以上に無敵でございますからね。
今ならどんな問題でも瞬時に解決できそうでございます!!
結論から言えば、無事…ではございませんがなんとか定時より1時間遅れで
本日の全ての業務を終わらせる事ができました。
クダリは書類で、保全管理課の二人とシンゲンと総務部長には
各バトルトレインでチャレンジャーの途中下車役として
協力していただいた賜物でございます。
帰宅途中、花屋に寄って注文していた物を受け取ります。
黒赤色の薔薇と青い薔薇をそれぞれ11本ずつで作られた花束。
決して滅びることのない永遠の愛、神の祝福、奇跡、夢叶う
花言葉など、は知る由もないでしょうね。
そして本数も…
11本は最愛、今迄とそしてこれからもと言う意味を込めて
何も知らないだろう、最愛の妻に渡すことにいたしましょう。
玄関を開ければ、エプロン姿のが笑顔で迎えてくださいます。
「お帰りなさい、今日は早かったんですね。お疲れ様でした!」
「ただいまでございます。、これを…」
「うわー、綺麗!それにどっちの色もすっごく珍しいですよね!!
それにとっても良い香りがします。ありがとうございます!
飾ってから夕食の準備を終わらせるんで、先にお風呂どうぞ?」
普段から、気が向けばこうして花束を贈っておりましたので
今回もそうだと思っているのでしょうね。
シャワーを浴びて部屋着になってからダイニングに行けば
既に夕食の準備が終わっておりました。
テーブルの中心には鍋物でしょうか?ですが、この鍋は?
私の視線に気がついたが、いたずらっ子の顔で
指をピッピの様に振りながらそれを指差します。
「今日は水炊きですけど、使ってる鍋がなんと紙なんですよー!
ちょっと面白いかなって思って、時期はずれですけど作りました。
それと、これ…ちょっと前に見かけてノボリさんに合うかなって
丁度今使ってるのが、もう終わりそうでしょう?」
そう言って、手渡されたのは黒地に銀の蔦模様のラッピングされた物。
なんでしょうかと思い、中を見て私は驚きました。
黒い皮にちょっと暗めのホログラムの縁取りの施された手帳でした。
「…私も貴女に渡すものがござます。これを、受け取ってくださいまし。」
「うわわ、何ですか?って、きゃーん可愛い!
私も丁度今使ってるのが終わりそうだったんで、探してたんですよ!
うわー、ラベンダーカラーとかモロ好みです。ありがとうございます!」
手帳を両手で抱きしめて小躍りする姿はとても愛らしいです。
散々悩んで選んだ甲斐がございましたとも!
ですが、このタイミングでこのプレゼントと言う事は…
「…貴女、今日が何の日か知ってらっしゃいましたね?」
「んんー?なんの事ですかぁ??」
「とぼけないでくださいまし!今日は結婚1周年、紙婚式
紙婚式には紙に関するプレゼントをするのが習わしでございます!」
いたずらが大成功した子供の様に笑うを、強く抱きしめました。
忘れられていたと思っておりました、それでも私は祝いたかった。
私の自己満足でも良かった、そう思っておりましたのに
この喜びをどの様に表せば、どう伝えれば良いのでしょう!!
「本当に…貴女と言う人は予想の斜め上をかっ飛ばしやがりますね!」
「あっはっはー!まぁまぁ、まずはご飯を食べましょう!
明日はお休みですからお酒も解禁しちゃいます。お酌くらいしますよ?」
「…えぇ、時間はたっぷりございますからね。
私、やられっぱなしでいるつもりはございませんからね?」
「ちょ、そこは大人の余裕で笑う所ですよ!」
掠めるような口付けをして、テーブルにつけば
顔を赤らめながら、モゴモゴと尚も何か言っておりますが知りません。
この良き日を、そしてこれからの日々も、貴女と共に、でございます!!
長編設定のノボリさんと平社員さんで結婚1周年のお話です。
結婚して1周年、まだまだ甘い日々が続くのか?既に枯れているのか?
それは夫婦によって違うのではないかと思います。
紙婚式に紙製品をお互いにプレゼントするのは本当の話です。
薔薇の花色での意味と、本数での意味も実際にあるものを使ってます。
花束を持つよりも、エプロン姿でお玉持ってる方がノボリさんにはお似合いかも知れない…
サプライズするつもりがサプライズで返した平社員さんの方が一枚上手でしたね。
この二人はこれからもこんな感じで、ほんわかと仲睦まじく過ごす様な気がします。
- 2014.6.11 -