2014 Just Marriage!------捕食者の微笑

2014 Just Marriage!

捕食者の微笑



青天の霹靂という言葉がピッタリ当て嵌る様なその出来事に
ギアステ内が蜂の巣をつついた様な騒ぎになったのでございます。

施設設備保全管理課の課長と、部下のが結婚しました。

女子職員に隠れファンの多かったと、実は独身の男子職員から
かなりのアプローチを受けていたの結婚でございましたが。
良く良く考えればお似合いであるのも事実で
私とクダリは自分の事の様に喜んで、二人を祝福したのでございます。

午後休憩の時間になり、仕事を中断したが執務室に戻って
デスクの上に置かれた書類を眺めております。
明日は休日なので、色々と段取りを進めているのでしょう。
コーヒーを手渡せば、すみませんと言って笑う顔は以前よりも
とても穏やかで、これが結婚したという事なのでしょうね。

「たっだいまー!バトルできると思ってたのに途中下車とかつまんない!」

「お疲れ様です。白ボス、これで3回連続じゃないですか。
でも、その程度の相手とバトルしたって、つまらないでしょう。
これ、サザナミタウンの駅の点検結果と修繕予定表なんですが
部長には確認とってますから、目を通しておいてください。」

「書類整理ばっかり飽きた!今は休憩に入るから後でも良いよね?
そういえば他の皆は?休憩に入らないの?」

「主任は材料発送のトラブルがあって、発送元へ行ってもらってます。
はキリの良い所までやりたいからって、時間をずらすそうですよ?」

「ふーん。そうだ!ねぇねぇ新婚生活どう?ハッピーでスマイル?」

クダリの質問に、飲みかけのコーヒーを逆噴射する所でございました。
ノボリ汚い!と言われましたが未遂です。セーフです!

「クダリ、それはプライベートな事でございますよ?
その様な事を聞くのは、はしたないのでおやめくださいまし!」

「えー、ノボリは気にならないの?ボクは気になる!
ねぇ、行ってきますのチューとかする?一緒にお風呂とか入る?」

「白ボス、新婚の連中が皆そうだってわけじゃないでしょう?
その夫婦それぞれ…そういうものだと思います。
大体、俺の体格で一緒に風呂に入るのは無理があるし
行ってきますのチューも、出勤時間も場所も一緒なんだから無いですよ。
そう言う所は結婚前と変わりませんね、付き合いが長いんだから。」

ホワイトボードの前に立ち、スケジュールを調整しながら
はクダリに向かって苦笑いしております。
確かに新婚らしさは無いかもしれませんが、二人のやり取りが想像できます。
それでも、きっと落ち着いた暖かい雰囲気なのでしょう。

「付き合いが長くて結婚すると、そーいうモノ?
確かに相手に、甘い雰囲気とか想像つかないけどー。」

制帽とコートをハンガーに掛けて、デスクにすわったクダリに
が、先程の書類を手渡します。
私もそばに行き、その予定表を確認して、二人分のサインをします。
その時、私達の頭上でがフッと吐息をこぼしました。

?なにか書類についてご意見でも?」

「あぁ、そうじゃありません。
ボス逹にはちょっと理解できないのかなと思っただけです。
すみません、仕事中に考える事じゃありませんでした。」

「今は休憩中。上司とか部下とか今はやめてもオッケー!
ボク逹が理解できない事って何?」

「…そうだな。ここからちょっとダチモードにさせてもらってもいいか?
先に言っておくが俺の話にドン引くなよ?俺はマジなんだからな。」

2杯目のコーヒーを手に、応接スペースに移れば
は私達の真向かいに座って、腕を組んで目を閉じまま話し始めます。

「お前逹ってか、クダリは俺とが新婚らしくないって言ったよな?」

「あ、うん。だって仕事してる時だけじゃない。
御飯食べにおいでって言われてお邪魔しても、そんな雰囲気?見た事ない。
も全然変わってない!…だよね、ノボリ?」

「確かに、お二人共結婚前と全く変わってないかと…。」

「結婚したからって付き合いを変えたりしたら、嫌だろう?
そんな気も俺等には無いしな。周囲への付き合いも関係も変わってないんだ
結婚したからって態度が変わる方がおかしいだろう。
変わったのは俺との関係なんだ。…変わるのは二人きりの時で良い。」

今までとじていた目を開いて笑う顔には、先程の穏やかさは無く
同性の私でさえドキッとする様な艶がございました。
付き合いは短くても、それなりに親しくしていた
この様な表情を見るのは初めてで、クダリも驚いてる様でございます。

「俺は自立した女が好みだって、今迄ずっと言っていたが
それは子供が出来て、家庭という空間ができてからの話だ。
それ以前の子作り最中の状態なら、俺は相手を片時も離したくない。
腕ん中に雁字搦めにして閉じ込めて甘やかせてから
じっくり時間を掛けて、グズグズに溶かして喰らい尽くしちまいたいんだよ。
…そういえば、こんな話を二人にするのは始めてかもしれないな。
どうだ、ドン引くだろう?」

黒目がちの瞳から、凄まじいまでの色気とでもいいましょうか
その様なものが発せられてる様な錯覚に、私もクダリも身震いしました。
こんな目で見つめられれば、大抵の女性は囚われてしまうかもしれません。

「うん…始めて聞いてちょっとビックリしたかもしんない。
でも、相手にそんな事出来ないでしょ?
経験値だって全然だし、には物足りないとかって無いの?」

「それ以前に、空気読め!の彼女には効果がございませんのでは?」

クダリと私の疑問は当然でございましょう。
元々男女間の情愛に非常に疎かったでございます。
口でどうこう言っていても、実経験が伴っていない彼女を相手に
その様な事は不可能だと思うのですが…。

手にしたコーヒーを飲むのも忘れて、私達はから目を離せず
そのまま彼が何を言うのかを待ち続けました。
なんと言いましょうか…怖いもの見たさ?なのでしょうが
この後で私達は盛大に後悔する事を、今は知る由もございませんでした。

「あいつのそういう顔を見るのは俺だけで良いんだよ。」

ソファーに深く身体を沈めてから、
は目を閉じて、前髪を無造作にかきあげました。
その時のの表情を思い出してるのでしょうか?
吐き出された吐息の音が、艶っぽく部屋に響きわたります。

「…二人共、本気でこの女を自分のモノにしたいって思ったら
なり振りなんざ構ってられないんだぞ?
それにな?どんなに頑なな女であっても、男が本気をだして
愛して、想いが通じあった時には、応えてくれるモンなんだ。
事実、あいつは俺にちゃんと応えてくれてるぞ?」

「うっそ…」

「…マジでございますか…」

自分の耳を疑いたくなるような言葉を聞かされた気がします。
あのが?信じられないと思った私達は間違ってないと思うのです。

「経験値が無いからこそ、吸収が早い事もある。
まだまだ食い尽くせない位に、未知数が残ってるから楽しめるしな。
流石に、仕事に響かない様に手加減するのが難しいんだが
その分、休みの前にはがっつかせてもらう。」

深く持たれていたソファーから立ち上がり、
私達の分の紙コップも持って、はゴミ箱にそれらを投げ捨てます。
その後で振り返った顔は、普段通り穏やかな表情でございました。

「さて、そろそろ休憩時間も終わるんで、この話は終わりです。
その顔を見ると、やっぱりドン引きましたか?」

「あー…うん。ちょっと未だに信じらんないかも。」

「えぇ、あのが?で、ございます。」

「ふふっ…まぁ、俺だけが知っていれば良い事ですから。
むしろ誰にも見せたく無いし、見せるつもりもありません。
夫婦の事なんて、そういうものでしょう?それでは仕事に戻ります。」

ニヤリという音がしそうな微笑みを残して、が出た後
執務室には妙な沈黙が流れてしまいました。
友人の性癖…いえ、男としての本気を見せつけられて
空調が効いてるはずの室内が寒く感じられる程でございます。

「ノボリ、ボク今の話し聞いてちょっと後悔したかもしんない。
のさっきの…男の顔って始めて見たけど、凄すぎ!
ねぇ、明日ってお休みだよね?
って事はさ、ってば思いっきり食べられちゃう?」

「あのの口調からすれば、間違いないかと…
ふむ…休み明け、にプリンを差し入れてあげるとしましょうか。
疲れた時には甘い物が一番!でございますからねぇ…」

「ボクもにとっておきのお菓子あげる!」

どちらも大切な友人でございますが
こればかりは、私たちが口も手も出せる事ではありません。
出来る事といえば、休日明けに勞って差し上げる位なのでございます。










長編設定で、ギアステのアニキな保全管理課の課長さんに
平社員のさんとの新婚生活について語っていただきました。
課長の本気とかすげー怖い!怖すぎるよ!!
何気にSっ気たっぷりなさんに、マスターさん逹もドン引きしてますね。
さんは、休み明けの休憩時間に黒ボスお手製のプリンを食べながら
「生き返ったかもしんない…」とか、涙目で呟きそう。(笑)



                          -2014.6.8 -