2014 Just Marriage!
Mickle fails that fools think 〜下手の考え休むに似たり
※注意※
現地での話の為インゴさん達の会話文が普段の表記とは異なっております。
許せない、ダメだわー、と言う方はブラウザを閉じてお戻りください。
決済の終わった書類を前に、私はため息をつきました。
この様な事例は何度も経験済なのです。今後どうすべきなのか?
それは愚弟にだってわかりきってる事だと言うのに…
「それで?お前はこれをどうしたいのですか?」
「最終的な判断はトップの君の仕事でしょ?
ボクはそれに従うのがいつもの事じゃないのさ。で?どうするの?」
「…既に受理したものを取り消す事は、後々問題が起きると
わからないお前ではないでしょう?時間の無駄ですね。」
「あはは、やっぱりね!それじゃ、この退職届の取り消しはしない。
そういう事だって、本人には言っておくよ。」
愚弟は手をひらひらと振り、執務室を出て行きました。
問題の書類とは、結婚を理由とした退職届
既に受理したにも関わらず、取り消したいと言い出したのです。
6月、この時期に毎年同じ様な事例を目にしているのですから
アレも私を通さずに自分で判断して欲しいものです。
付箋に再考不要と書いて、その書類に貼り付けてから
処理済みのボックスに放り込み、私は業務を再開させました。
この話はもう終わった、そう思っていたのですが、そうではなかったのです。
「…何を考えているのでしょうね、理解に苦しみます。」
最近は頻繁に家にきて、夕食を共にする愚弟の言葉に溜息しか出ません。
コテージパイに特性のソースをつけて口に入れれば
スパイスが程良く口の中を刺激します。相変わらず美味ですね。
「まぁね、色々と浮かれてやらかしちゃった後で後悔した?
そんな感じだと思うけどさ、考えが浅はか過ぎて話にもならないってば。
あ、このマッケンチーズ美味しい!中に何が入ってるの?」
「ツナとオニオンのみじん切りを入れたんですよ。
ちょっとしたディップみたいにもなるし、いけるかなぁって。」
クランペットにマッケンチーズを乗せて食べていた愚弟を見て
隣でサラダを取り分けていたが笑いながら説明します。
「うん、そのまま食べても美味しいけど、それも有りだね!
ホント…弁護士と相談するから、今後はそっちと話してくれとか
呆れてその後何も言えなくなったよ!」
「弁護士を通したとしても、既に人事の決定権を持つ者に
退職届が渡り、受理されておりますから撤回は不可能でしょう。
一応退職届を受け付けた時に、こちらは形式的ではありますが
撤回の意思はないのかと、本人に確認もしているのです。
訴えられる様な内容はこちらには皆無ですから、問題はありません。
それで?結局は結婚自体を取りやめたのですか?」
相手が法的手段を考える事自体、考えられません。
こちらには一切落ち度がないのですから、受けて立ちましょうか。
むしろ、くだらない事に時間を取らされたといって
こちらが賠償を求めても問題はないかもしれませんね。
「みたいだよ?ってかさ、結婚ってそんなに悩む事なの?
こういうのって、マリッジブルーって言うんでしょ?
そんなので毎年こんな事されるとか勘弁して欲しいよ。」
「病めるときも健やかなる時も…誓いの言葉とはそういう事を
再確認して、それでも結婚するのかと聞いてるのです。
何があっても相手を愛し続ける事ができるのか?
経済的理由?相手の愛情?それら全てを受け止めてから
始めて結婚を考えるべきで、あまりにも浅慮すぎです。」
コテージパイを崩し、クランペットに乗せてその上に
マッケンチーズを更に乗せて食べてみます。これもなかなか合いますね。
口の中でそれぞれの味を堪能していれば
いつの間にか沈黙が流れていたので、テーブルから顔を上げれば
愚弟だけでなく、までもが私の顔を凝視しておりました。
「二人共、なにか言いたい事がお有りですか?」
「あー…インゴって、実は結構色々考えてたんだね。
ボク、が好きって気持ちだけでひた走ってたんだと思ってたよ。」
「私はインゴさんに押されまくってタジタジでしたからねー。
一時の感情とかそうい勢い?そんな感じだったのかなって思ってました。」
「二人共、現実をきちんと見なさい。
結婚すると言う事は相手の人生や全てを、自分の隣に並べるのです。
良い時ばかりではないでしょう?それ以外の時でも共に歩めるのか
何かあれば、背負ってでも歩き続ける事ができるのか?
それらを全て解決してから始めて、口にすべき言葉でしょう。」
グラスに入った赤ワインを流し込みながら、一度言葉を切ります。
自分の人生をそう簡単に相手に委ねようと考える事自体が
そもそも私には信じられない事なのですけどね。
「幸か不幸か?私には考える時間が沢山ありましたからね。
友人として?恋人として?生涯の伴侶として?
感情を冷静に受け止め、自分の人生の中での位置づけの
結論を出してしまえば、その後躊躇する事など無意味です。」
「あはは!インゴらしいって言えば、良いのかな?
確かに、研修から戻ってきた後でキミってばしばらく考え込んでたし
今思えば、その時がマリッジブルーみたいなモノだったのかな?
いや、そもそも男にマリッジブルーってあるの?」
空になった私のグラスにワインを注ぎながら、エメットが首を傾げます。
確かに、自分の想いはどういうものなのか?
私はをどうしたいのか?私自身は何をすれば良いのか?
自分の感情を持て余し、色々と考え込んでいた時期もありました。
誰にも気づかれていないと思っておりましたが、そこは自分の片割れ…
そう言う所にはやはり目端が利きますね。
「…結婚の意思を固めてから色々調べておりましたら、有るそうです。
ですが、先程も言っている様に浅慮すぎるからとしか思えません。
この話はこれで終わりです。せっかく食事が不味くなるでしょう?」
「あー、そうだね!でも未婚のボクには結構参考になったよ。
そう言えば、今日の最後のスーパーマルチの時にインゴってばね…」
私がこれ以上話す意思が無いのを悟ったのでしょう。
その後は普段と同じ様に、ギアステでの出来事をに話し始めます。
結婚してから家庭に入ったを気遣ってなのか
エメットはこうやって、職場での私の様子を彼女に会う度に話すのです。
大抵はバトルの内容や、ちょっとした出来事を面白おかしく話す様子に
はいつも通りに表情を和らげて楽しそう聞いております。
食事が終わりしばらくしてから、エメットは帰って行きました。
泊まらないのかと聞けば今日はやめておく、だそうです。
二人で見送って、が食事の後片付けをしている間にシャワーを浴びて
リビングに戻ってみれば、よく冷えたおいしい水が用意されておりました。
ソファーに座り、持ち込んだ書類に目を通しながら口に含めば
ふとした疑問が浮かび上がります。
「、片付けは終わったのでしょう?こちらへ座りなさい。」
「インゴさん、まだお仕事中でしょう?」
私と自分のポケモン達で体調チェックと称して遊んでいたが
こちらをみて、首を振ります。
仕事中は集中して欲しいからと言って、そばに近づく事をしないのです。
「この書類はすでに目を通し終わったので、終わりました。
貴女ももう全て終わったのでしょう、こちらにきて休みなさい。」
隣を指させば、ポケモン達をボールに戻し、言われた通り横に座ります。
書類を片付けてから触れるだけの口づけを落とし、私は疑問を口にしました。
「この時期なのでしょうが、先程のマリッジブルーに関するトラブルは
ギアステでも後を絶たないのです。女性の立場として貴女に聞きますが
やはりマリッジブルーは避けられない問題なのでしょうか?」
「インゴさん、それってガッツリ仕事じゃないですか。
疾風怒濤、雪崩の様にな勢いで結婚した私にそれを聞くんですか?
それに、私達のケースは稀でしょう?あまり参考にならないんじゃ…」
確かに、出会ってから結婚するまでの期間は十分すぎる程に長かったですが
遠距離で、会う事すらない状態でしたからね。
実際に再開してから結婚までの期間は驚く程短かったわけですし…
ですが、それでも聞いてみたいと思うのは仕方がないでしょう。
「あくまでも参考意見としてお聞きしたいのです。
それで?マリッジブルーになったのか、ならなかったのか、教えなさい。」
「命令形って事は絶対答えろって事ですよね?
うーん…私はなりませんでしたよ。なる暇すらありませんでした。
むしろ、色々悩んでたのはお付き合いする前でしたね。
だけど、全部インゴさんが論破しちゃったじゃないですか。」
「ふむ…」
確かに、お互いの気持ちを確かめ合うまでに色々と言ってましたね。
私の気持ちも友情だとすり替えようともしましたし
連絡不能にして、そのまま終わりにさせようともしました。
それら全てを私は蹴散らしましたけどね。
今思えば、とんでもなく失礼な事をやらかしてくれてました。
「自分自身が不安定な状況にあった…まぁ、今もあるんですけどね?
そんな状態で誰かと想いを重ねるのは有り得ない事でしたし
寂しかったら一時の温もりを求めればそれで済む事です。
私の立ち位置だとそれしか出来ないと思ってましたからね。」
「…今聞き捨てならない事をおっしゃいましたね。」
誰かそう言う相手を、その時に見つけていたという事でしょうか?
寂しかったら?身体だけ満たされても埋まるものでもないのに。
目の前が赤く染まった私を誰も責めることはできませんでしょう。
噛み付くように唇を奪い、そのままソファーに押し倒して
深い口付けを繰り返し、そのまま自分の想いをぶつけます。
突然の事に、抵抗する暇がなかったのでしょうが、
しばらくして、が私の肩口を2回タップします。
落ち着けという事なのでしょうが、それは無理ですね。
「…ストップです!あの時の自分の気持ちを、正直に話してるんです。
実際にしてないのはインゴさんが一番良くわかってるでしょう!
貴方は私にそんな気持ちを与える暇もない位…ぶつかってきましたしね。
それは…ほら、今でも…ね?結論から言えば…私もインゴさんと同じです。
結婚前に色々悩みましたけど、それは…マリッジブルーじゃない。」
「?」
「…今でも色々不安は無いわけじゃないです。
一番大きな問題は解決されてませんからね。それでも好きなんです。
一時でも…離れていたくないって、そう思わせたのは…インゴさんですよ?」
組み敷かれた下で、私の頬に手を当てオブシディアンの様な瞳で
真っ直ぐに見つめ返す顔に、嘘はありませんでした。
そのまま上体を起こし、向き合う形をとれば吐息混じりに身体を震わせます。
「…覚えていてください、私の覚悟は…並大抵のものじゃ…ない…。
それこそマリッジブルー…なんて比べ物にならない程…です。
そんな暇が…あるなら…もっとインゴさんと…いたいって…」
そのまま私の身体をきつく抱きしめ、私に応えながら、途切れがちに
それでも自分の気持ちを伝えようと懸命には話し続けます。
これだけはっきりとした想いをわからない程、私は馬鹿ではありません。
「もう話すのはやめなさい。私達には関係のない事、それで良い。
、貴女を愛しています。どんな時でも、何があっても。」
「…私もです。インゴさんが…好き…インゴさん…インゴさん…!」
誰かを深く想う事は奇跡。その相手と想い合う事はそれ以上の奇跡。
それがわからないのは馬鹿でしかありません。
そんな馬鹿が考えている事など、大抵役に立たないのです。
本当に私達には全く関係のない事ですね、忘れましょう。
何気にシリーズ化にしても良い位続いているインゴさん夫婦です。
マリッジブルーについて語っていただきましたが、聞くだけ無駄だったかも?
そして、会話中に何をやらかしたんでしょうか?この暴走列車が!
でも、二人の気持ちにブレは全く無いみたい?
この二人…というか、夢主さんにはまだ秘密がありそうですが
そんな事すら、問題にならないんでしょうね。お二人共、今後もお幸せに!!
-2014.6.6 -