2014 Merry Christmas!
Andante
最終トレインがホームについたのは夜遅く
その後事務仕事を片付けていたら時間はあっという間に経ってしまい
日付はすでにクリスマスになってしまいました。
この日は祝日で公共施設はおろかデパートや他の店の類も休みでございます。
「ダス…」
「あぁ、そんな所にも落ちていたのですか。」
最後の見廻り中、ダストダスを出してホームの点検をすれば
清掃係りの方が変えられた後に捨てられたゴミがあちこちにあり
それらを全てダストダスが見つけてくださいます。
例年通りとは言え、恋人がいるにも関わらず何もできなかった私は最低です。
感情を表に出す事だけでなく、言葉にするのも苦手な私はこの状況の中で
会おうと努力しても無駄なのが分かっていたので何も約束しなかったのです。
すっかり人の気配のなくなったホームのベンチに腰掛け溜息をつけば
ダストダスが心配そうに私を伺っております。その頭をひと撫でして目を閉じれば
恋人のの柔らかな笑顔が浮かび上がります。
『忙しいのはわかってますから気にしないでくださいね?』
職場は同じでもプライベートでは休みが違う為殆ど会うこともできない私に
いつもは気にしないでと笑います。
最初の頃はその優しさが嬉しかったのですが、今ではとても不安なのです。
好きなら、いつも一緒に居たい…そう思うのが当然なのに
なぜは平然としていられるのでしょうか?
少しでも会ってそばにいたい…そう思うのは私だけなのでしょうか?
「ダス…」
ダストダスが困った様にその手を肩に乗せます。
それがしっかりしろと励ましてくれてる様に思えて私は笑ってしまいました。
そうですね、ここにいても仕方がないので、もうひと仕事してから帰りましょう。
ベンチから立ち上がり、作業日報を書く為に執務室に戻る途中
照明の落とされた職員専用通路に人影がありました。驚いてカンテラをつければ
それはで、手にはなにやら大きな荷物をもっておりました。
「?!こんな時間にどうされたのでございますか?」
「黒ボスお疲れ様です。遅くまで仕事をしててお疲れかなって思って
ちょっと差し入れに来たんです。白ボスの分も作ったんですけど
帰っちゃったんですね…ま、いっか!これ、食べてください。それでは!」
「お待ちくださいまし!あの…私の業務はまだ少々残っておりまして…
ですがすぐ終わりますので、その後ご一緒してくださいませんか?」
その気遣いは嬉しいのですが、どこかもどかしさもあって
荷物を手渡し、すぐ帰ろうとするの手を引いて執務室に入ります。
「作業日報を書けば終わりますので、少々お待ちくださいまし。」
「はい、それじゃあこっちのスペースに準備しておきますから
終わったら来てくださいね?ダストダス、あなたも一緒に食べよ?」
「ダス!」
は差し入れをもって奥の応接室へダストダスと行ってしまいました。
愛しい人がそばにいる、それだけで私の心には羽が生えたかの様で
書類を書く手も自然と早くなってしまいます。
あっという間に日報を書き終わり、着替えて応接室へ向かってから
隣同士に座って、の差し入れを一緒に食べます。
やはりクリスマスという事だからなのか、ターキーのサンドウィッチもあり
どれも大変美味しゅうございました。
「ごちそうさまでした、大変美味しくいただきました。」
「それを聞いて安心しました。なんだか顔色が良くなくて心配だったんですけど
ちょっとは落ち着いたみたいですね。家に帰ったらすぐ寝てくださいね?
んじゃ、私は帰りますんで!」
「こんな時間に一人歩きは危険でございます。送らせてくださいまし。」
「ポケモン達が一緒だから大丈夫ですよ?
そんな時間があるなら、少しでも早く家に帰って身体を休めてください。」
違うのです、送りたいというのは口実で、本音は少しでも一緒にいたいのです!
ですがこんな我儘を言ってしまっても貴女を困らせるだけ…なのでしょうね。
私の仕事を理解してくださってるのは嬉しいのですが、それでも我儘をとは
私が言えるような立場でもないのでしょう…ですが…ですが!…
「…ダス、ダスダス!!」
「ふえっ?ちょ、ダストダスどうしたの?って、うわわっ!」
その時、急にダストダスがのそばに近づき、彼女を抱き抱えました
その行動にだけでなく、私も驚いてしまいましたがその後ダストダスは
私の膝の上にをおろしてからそれぞれの肩をポンポンと叩きます。
「あは、ダストダスにはバレちゃってた?うん、そうだね。」
「?!」
はダストダスを見て笑ってから、私に向きあうとそのまま両手を背に回し
私を抱きしめる様にして胸に顔をうずめてしまいました。
「えっとですね、帰りますとか言ってますけど…違うんです。
我儘だってわかってますけど、もうちょっだけこのまま一緒にいても良いですか?」
「…それは私と少しでも一緒にいたい…そう思っても良いのでしょうか?」
こんな野暮な事しか言えない私が情けない!
ですが、確かめずにはいられないのです。もし、そうだったなら…そうなら
私も我儘を言っても良いのでしょうか?言っても許されるのでしょうか?
そのままの名を呼び続け、抱きしめながら柔らかな髪に顔を埋めれば
くすぐったそうにして、が身をよじりました。
「黒ボス…「ノボリと呼んでくださいまし!」…ふふっ、ノボリさん
ノボリさんも、もしかしたら私に何か言いたいことがあったりします?」
「私は…でも、私にはその様な資格がございません。
私は仕事だからとクリスマスなのに貴女と何も約束をしなかったのですよ?」
「…私が知りたいのはノボリさんの気持ちです。」
私の背をトントンと優しく叩くのは貴女に私の想いを告げた時もでしたね。
その仕草が、我儘を言っても大丈夫だと言われている様で、気が付けば私は
素直に自分の想いを言葉にする事ができました。
「私は…私も一緒にいたい、もっと話していたい、そばにいたい、触れていたい…
、我儘を言っても…貴女は私を嫌いませんか?軽蔑しませんか?」
「大丈夫です、遠慮される方が私は寂しいし悲しいです。」
そう言って私を見つめる瞳は今にも涙がこぼれ落ちそうでした。
あぁ…寂しかったのは私だけではなかったのですね。
愛しい方に悲しい思いをさせていたのでは恋人失格でございます。
「…このまま私の家に来てくださいまし。もっと一緒にいたいのです。
もっと声を聞きたい、そばにいて欲しい…そして…こうして触れていたい。」
初めて触れた唇は涙の味がいたしましたが、それすら甘く感じられます。
想う気持ちが同じなら、私の願いも聞き届けていただけるでしょうか?
「はい…っ」
私の顔をみて笑うが一層愛おしく、そのまま強く抱きしめれば
擦り寄る様に私の胸に顔をうずめてから溜息をつきました。
どの位そのまま抱き合っていたでしょうか
ゆっくりと上体を起こし、お互いを見つめ合ってどちらからともなく笑えば
がゆっくりと口を開きました。
「私とノボリさんの気持ちは一緒だって、だから大丈夫って思ってたけど
やっぱり言葉とか態度で伝えてもらえると嬉しいし安心しますね。」
「そうですね、私もももう少しお互いにもっと我儘にになるべきでした。
今からでも遅くはございません、これからその様にすればよろしいでしょう?」
少しずつ、お互いの距離を縮め合っていけば良いのです。
ゆっくりゆっくりと共に歩き、やがてひとつになれば良いだけなのですから。
「ふふっ、ダストダスに感謝しなきゃですね。」
「えぇ、流石はダストダスでございます!」
「ダス!」
そう言って二人でダストダスを見れば、当然!とでも言っている様に
私達を見てから、つぶらな瞳を細めて頷いておりました。
注意:掲載されている作品のお持ち帰りはリクエストされた方のみです。
慧瑠様のリクエスト、短編 Poco a Pocoの二人のクリスマスデートです。
でもデートしてないよ!ギアステから一歩も外に出てないよ?!(滝汗)
似て非なるイッシュはクリスマスが祝日で公共施設もお店も全部休みです。
仕事を疎かにしないこの作品のノボリさんはデートに誘えずウダウダしてます。
付き合いだしてはじめてのクリスマスだけど、健全で清らかなお付き合いじゃ
夜遅くに会うってのはどうかと思って結局は誘えなかった。
夢主さんも仕事の邪魔をしたくないからって我慢してたけど
我慢は身体に良くないんだぜー!とダストダスが頑張りました。
この話で一番の功労者…もとい、功労ポケモンはダストダスでしょう!(笑)
不器用な二人は、のんびりゆっくりと愛を育んでいくんじゃないでしょうか?
慧瑠様、リクエストありがとうございました!