2014 Merry Christmas!
Be my last.
ギアステーションはクリスマスなんて関係ないし?
むしろクリスマス休暇を取った職員の分も仕事が増えて忙しいんだよっ!
「あーもう!全然駄目だってば!ちゃんとトレーナーの配置考えて!
こんなんじゃチャレンジャーに満足してもらえるバトルが出来ないよ!」
「す、すみません!」
「悪いと思ってるなら仕事して!特にマルチの配置が問題だよ。
新人トレーナーには必ず古参のトレーナーをパートナーにして。
実践で色々覚えさせて、それが出来ないようなら配置替えも考えて。」
「わかりました、すぐ変更しますっ!」
持って来たトレイン乗務員名簿をそのまま突き返して、書類入力を再開する。
午前中の分の入力はこの調子だと後少しで終わらせる事が出来るかな?
隣のインゴのデスクを見れば、いつも以上に書類が溜まってて
決済を待ってからの書類整理じゃいつ帰れるかわかんないから手に取る。
重要な部分を抜かして、通例通りのものにはサインの場所を空けて纏めて
それぞれに付箋を貼ってファイリングしておく。
いくつか出来上がった書類を持って各部署を巡回してたら
バトルの終わったインゴとすれ違った。
「インゴ、デスクの上のファイリングしてある書類に先に目を通して!
これが終わってそっちに戻ったらその書類もらうから!」
「…指図する暇があるならさっさと仕事をしてしまいなさい。」
「やってるでしょ!ぼく、今日は絶対に残業しないからね!!」
言いながら預かった書類を叩きつけて、足早にすり抜ければ
すれ違い際にクスッと笑うインゴはぼくがどうして急いでるのか知ってる。
クリスマスって一大イベントを恋人と過ごさないで誰と過ごせって?
インゴは特別付き合ってる子がいないから良いけど、ぼくは違うんだから
なんてったって恋人同士になって初めてのクリスマス!
おまけに初めてぼくの家に泊まりに来てくれるんだから張り切るでしょ?
各部署に書類を届け終わって、その後バトルの呼び出しがきたから
結局執務室に戻ったのは結構時間が経ってからなんだけど
言っておいた書類は見事に終わってて、むしろ倍の量の書類がデスクにあるよ!
「本日分の書類はそこにあるもので全部でございます。」
ちょ、急ぎの書類じゃないのまで入ってるとか勘弁して!
インゴってば、ぼくがこんな風になってるのをすっかり面白がってるよね。
でも仕方ないかな?自分でも思わなかったもの。
デスクに座って叩きつけるようにテンキーを使ってたらクスリと笑い声がした
半目になって顔を上げればインゴが書類を見てたけど口角が少し上がってる。
「笑いたかったらちゃんと笑えば?口元が震えてて気持ち悪いよ!」
「お前の態度に比べればマシでございます。
と言いましたか…は、お前がそこまでする価値があるのですか?」
「インゴ、先に言っておく。今日がギアステに来るけど
余計な事はしないで欲しいし話さないで欲しい。その位出来るよね?」
ぼくに恋人ができるとインゴは必ずその子にちょっかいを出す。
そして皆インゴにフラフラよろめいちゃって駄目になったんだ。
恐らくにも同じ事をしようとしてるんだろうな…
ぼくの答えにちょっと驚いた様に目を見開いた後おかしそうに笑って
「…珍しい、お前は今迄わたくしがお前の恋人に何をしようが構わなかった。
それが今度は手を出すなですって?面白い、その女性に興味がわきました。」
はっきりいう、他人はぼくを恋多い男とかチャラいとか言ってる。
確かに付き合ってる子がいても、いいなと思う子に声をかけたりお茶したり?
そんな事は日常的にあったけど、それは忙しい日常の息抜きのゲームだった。
そんなゲームにインゴも付き合って…ううん、自分も楽しんでたんだ。
書類に目を向けたままのインゴを横目にしてボクも作業を再開する。
バトル業務も並行してってのは正直言って効率が悪いんだけど仕方ない。
ぼく達の代わりを出来る人なんてここにはいないからね!
『エメットボス、案内所に様とおっしゃられる方がお見えです。』
最後の書類に取り掛かろうとした時、インカムがの来訪を告げる。
インゴがトレインに乗っててここにいなくて良かった!
チャレンジャーは常連だから戻ってくるまでちょっとかかるだろうし
ちょっとここでお茶飲んでもらって家で待っててもらおう。
「悪いけど今ちょっと手が離せないから執務室まで案内して!」
『了解いたしました。』
終業時間まであとちょっと、無事に書類も終わらせる事が出来そうだし
インゴにも余計なちょっかいをかけられなくて済みそうかな?
暫くしてノックと同時に執務室のドアが開いてを連れて職員が来た。
ありがとうと声をかけて職員に戻ってもらって、ぼくはを抱きしめた。
「、久しぶり!最近忙しくてなかなか会えなくてゴメンネ?」
「わかってるから気にしなくても良いわよ。それより仕事が残ってるのでしょう?
私、この近くのカフェで待ってるから終わったら来てちょうだい。」
久しぶりに会えた恋人は相変わらずクールだ。
恋愛より仕事が大事、そういう部分も含めては今迄の子達とは違う。
「え?ここで待っててよ。」
「それは駄目よ。ここって部外者をそんな簡単に入れて良い場所なの?
違うわよね、そういうところはキッチリしなきゃいけないのではなくて?」
これはの言ってる事が正しい、職権乱用は駄目よって笑うは
ぼくの唇にキスをひとつおとすと手をヒラヒラさせて出て行った。
「あーもう、ホントってばつれないんだから!」
手袋を外して自分の唇に触れればグロスの感触。
恋人の唇の色と同じに染まった指先を舌でペロリと舐めればキスと同じで甘い。
「でも、そんな所も大好き…」
インゴがここにいなくて良かった!きっと今のぼく、しまりのない顔をしてる。
こんな風になっちゃうとか、今時のティーンエイジャーでもいないでしょ。
明日は休みだし早く仕事を終わらせて家に帰りたいから仕事しなきゃ!
書類を全部終わらせてデスク周りを片付けてたらインゴが戻ってきた。
すっかり帰り支度を整えちゃったぼくを見てニヤリと質の悪い笑みを浮かべる
「先程にお会いしました。」
「え?」
「カフェの場所がわからず迷われていたので案内して差し上げたのです。
それから少々話をさせてもらいましたが非常に面白い興味深い方ですね。」
ちょっと待って欲しい、ぼくが一生懸命に仕事してるってのに
こいつはのんびりカフェにいたって?それもぼくの恋人と一緒に?!
「仕事中にそういう態度は駄目だって自分で言っててよくやるね。
それで?君がそういう顔をしてるって事はぼくに何か言いたいんでしょ?」
すごくむかついて不機嫌丸出しでストレートに文句を言えば
インゴにしては珍しく声を出して笑いだした。
「お前の普段の様子や仕事の事を聞かれました。
そうですね…話の内容は全てお前の事ばかりで、わたくしとしては
非常につまらなかったですが、わたくしの誘いに応じなかった方は初めてです。」
「堂々とサボって人の恋人をナンパするとかふざけるなよ!」
「おやおや、怖いですね。わたくしはお前を待ってる間寂しいからと
善意からお誘い申し上げただけでございますよ?」
「はっ!でも振られたんでしょ?ざまぁみろ!」
「弱い輩がいくら吠えようと効果はございませんよ?
仕事が終わってるのなら、さっさと愛しい恋人の元へ尻尾を振ってお行きなさい。」
「言われなくたってそうするよ!出来上がった書類はデスクの上にあるから。
修正なんかは今日は聞かないよ、休み明けに受け付けるからね!」
いちいち神経を逆撫でる様な口調に乗せられるぼくも大人気ないって思うけど
が絡んでるから仕方ない
デスクを指差してそう言ってからぼくは鞄を掴んで部屋を出ようとしたんだけど
「エメット」
「…何?まだ何か言いたい事でもあるっていうの?!」
ヒステリックに叫ぶぼくを見て、インゴがなんだが柔らかく笑った。
素の表情を職場で出すなんて珍しいなって思ってたら
「アレはお前にはもったいない程でございます。
もしお前と駄目になった時は、わたくしがもらって差し上げましょう。
嫌われない様にせいぜい頑張る事ですね。しっかり捕まえておきなさい。」
「は?ちょっとソレってどういう意味?」
「これ以上お前に話す事はございません。せいぜい飾りの頭で悩みなさい。」
そう言い終わると、話はもうないって感じでデスクに座っちゃったから
ぼくも何も言えなくてそのまま執務室を出た。
足早にカフェに向かえば、通路際の席に座ってるがぼくを見つけて手を振る
「お待たせ!ごめん、ちょっと遅くなっちゃった。」
乱れてる息を整えるのにウェイトレスが持ってきた水を一気にのんで言えば
向かいに座ってるが柔らかく笑って首を横に振る。
「別に気にしてないわ。こうやって通りを歩く人を見てるのも新鮮だったし?
ここに来るのに貴方のお兄さんに案内してもらって面白い話も聞けたから。」
「…インゴと何の話をしていたの?」
「貴方が普段どんな仕事をしてるのか、バトルの事とか色々とね。」
「他には?何か失礼な事言ったりしてなかった?」
正直にインゴに誘惑されなかったの?とは聞けなかった。
今迄の子達はインゴに誘われちゃうと、もうぼくなんか眼中にないって感じで
手の平を返したようによそよそしくなったから。
もそういう風になっちゃってるんじゃないのかって凄く不安になる。
「失礼…そうねぇ、貴方はヘタレだから私には物足りないんじゃないかって
代わりに自分が私の相手をしてあげるって言われたわ。
自分の弟の恋人に堂々とコナをかけるなんてすごい自信家よね、貴方の兄さん。」
「それで?ねぇ、それではどう思った?インゴになんて言ったの?」
「顔はそっくりだけど貴方はエメットじゃないでしょうって言ったわよ。
貴方じゃ役不足だからお呼びじゃないわってちょっと失礼かなって思ったけど
先に失礼な事を言ったのは向こうだし、その位言ったって良いでしょう?」
「くっ…あははははは!」
「エメット?」
何これ、あのインゴに向かってそういう事を言える人がいるなんて!
それもそんな人がぼくの恋人なんだ、笑わずにはいられないよ!
「あはは、はぁ…ごめんごめん。でもその時のあいつの顔見てみたかったな
今迄そんな風に言われた事がなかったから、凄く悔しそうにしてなかった?」
「別に、一瞬ビックリした様な顔をしたけど直ぐに仮面貼り付けた様な顔で
それはそれはご馳走様でございましたって言って行っちゃったわよ?」
ティーカップに残った紅茶を飲み干して、綺麗な仕草でカップについた口紅を
綺麗に整えられた指先でひとなでしてからそれを戻すの顔からは
特にいつもと変わったような所は見えなくて、それが凄く嬉しかった。
「もう仕事終わったんでしょう?いつまで私はここにいれば良いのかしら?」
「そうだね、途中何か軽く食べてから家に案内するよ。」
「どこかで朝食に食べるものも必要でしょう?貴方ってばそういうの
全然無関心そうだから、冷蔵庫にロクなものなんて入ってないでしょうし。」
「正解!それじゃ出ようか。」
テーブルの上のレシートをが取ろうとするのを押しとどめて
それを持ってレジへと向かうぼくの足取りは凄く軽かった。
レストランに向かう間もそれは続いてて
「こんなクリスマスって初めてだ。ぼくは今凄く幸せだよ!」
「あら、今だけが幸せなの?」
ぼくの顔を悪戯っぽく覗き込むようにしてるその顔が凄く綺麗で
そのままぼくはかがみ込む様にしてキスをした。
「まさか!君といればずっと幸せだよ?」
「奇遇ね、私もよ。」
繋いだ手を少し強く握ったら、フフッと笑って握り返してくれる。
こうやっていつまでも君と歩いていけたら…ううん、歩いていこう。
「きみが最後なんだろうな…」
そう呟いた声はどうやら君には聞こえなかったみたいで
はぼくに寄り添うようにして歩き続けてた。
これからの時間を想像するだけで、ぼくの周りがバラ色に輝いて見える。
がいればそれで良い、他には何にもいらないって素直に思える。
インゴに言われなくてもしっかり捕まえちゃうよ。絶対に逃がすもんか!
注意:掲載されている作品のお持ち帰りはリクエストされた方のみです。
クリスマスリクエスト第4弾はチャラくないエメットさんで恋人同士のクリスマスです。
うまくエメットさんらしくなってるかが不安、超絶的に不安ですが
お相手は同い年のキャリアウーマンな一般人の設定で書かせていただきました。
エメットさんにはちょっと年上っぽいお姉さんの様な人が似合いそうだと思ってます。
この後の二人の様子はご想像にお任せしちゃいます。
リクエストありがとうございました!