始まりの音をきく -2014.1.1 A Happy New Year!-

始まりの音をきく

2014.1.1 A Happy New Year!



時刻が0時になって、ビッグスタジアムから花火が打ち上がる。

新年の幕開けを、これだけの人数で過ごしたのはいつ振りだろうな。


ギアステの屋上でホットワインを片手に周囲を見れば

花火を背景に写メを撮ってるジャッキーとカズマサとトトメス。

整備班の連中と大声で騒いでいるキャメロンと白ボス

厨房の連中と何やら料理のレシピで話し込んでいるのは

黒ボスとだ。


ビッグスタジアムが毎年恒例で花火を打ち上げると知った

イベント好きなうちの平社員が、観たいと言ったのがきっかけで

ランチタイムで食堂で飯を食っていた独身組が揃いも揃って賛同した。

…その中に両ボスも入ってたとか、勘弁して欲しいぞ。


一番見える場所で酒でも飲みながらって話になってからは

全員の行動はすげぇ早かった。



「ハイハーイ、オレ知ッテルヨー!ギアステノ屋上、超穴場ダヨー!」



「それは良いですね。屋上なら大丈夫なので、ボクも参加したいです。」



「どうせ仕事が終わって、寝に帰るだけだからな。

どうせなら、皆で新年を迎えて楽しんだ方が良いと思うな。」



「ボクも参加させて下さい!うわー、皆で花火を見るとか素敵ですよね!!」



キャメロンの提案に即のったのは、ジャッキーとトトメスとカズマサだ。

お前等、ジャッキーはともかく、寂しすぎるぞ。



「おう、そんな事なら俺達も参加させてくれよ。

どうせ、点検作業が終わっても後は家に帰るだけだしな。」



車両点検班の独身組も、なんだかノリに乗って話に入ってきた。

それを、丁度ちゃみが頼んだ特製のパフェを持ってきた厨房の奴が聞いて



「そう言う事なら、飲み物と軽いつまみを提供してもいいぜ?

無料ってワケにはいかないが、ちょいとした金額出してくれれば

満足してもらえるだけのモンは作ってやるよ。

その代わり、オレ達も参加させてくれよ。」



ちなみに提示された金額は一人につき、おいしい水1本分だ。

いくらなんでもそれは安すぎるだろう。

それに、私的な集まりで公共施設でもあるギアステを使用する許可なんて

ボス達が簡単に許可できるはずもないと思うんだが…



「その様な事に施設を使用する事は今までに前例がありません。

ですが、職員同士の交流をはかる良い機会でございますね…」



「うん、ボク達も参加させてくれるって条件で良いなら許可する。」



…特権乱用しまくって許可するってのは、トップとして良いのか?

思わずその場で、二人に裏拳付きで突っ込んだ俺は間違ってないと思う。




そんな感じで準備は着々と進み、参加人数も着々と増えて

今日に至った訳だったりする。

何発も打ち上がる花火を見ながら、昔を思い出す。


家族で正月を迎えた記憶は遥か遠い。

それから、の家に引き取られるまでは独りだった。

シンオウではがいる時は、一緒に過ごしたが

地方を旅している時はやっぱり独り。

こうやって考えてみると、独りで正月を迎えてる方が多いかもしれない。



、どーしたの?」



「正月だってぇのに、随分辛気臭い顔してるじゃねぇか。」



人集りの輪から離れて、が俺の所に来た。

ホットワインを一口飲んでから、俺は二人に笑ってみせる。



「こうやって、にぎやかな正月は久しぶりだと思ってな。」



俺の言葉に二人も色々思う事があるんだろうな。

暫く考え込んでから、頷いている。



「確かにそうだよねー。こっちに来て3人でいるから

また例によって例の如く、うちに集まってグダグダ飲み食い三昧と思ったら

なんだか、大勢でひゃっほいだもんねー。楽しいから良いけどねっ!」



がホッとレモネードの入ったコップを見つめながら

ボソリと呟けば、も同意するように笑っている。



「考えてみたら、こんな大人数で正月を迎えたなんざ初めてじゃねぇか?

煩いのは好きじゃねぇが、こいつらとだったらバカ騒ぎも面白ぇよ。」



ちょっとした事がきっかけになって、ここの委託業者として仕事をして

今では昔からいるみたいな顔をしているが、不思議な縁ってやつだと思い

きっかけになった、白と黒のコートの二人を見つめる。

こいつらに出会わなかったら、俺等はどうしていたんだろうか

多分、いつもの様に仕事をしながら定住もせずに旅を続けていただろう。


俺の視線に気が付いた白黒ボス達が手を振りながら近づいてくる。

その顔は昔からダチだったような、そんな錯覚さえ覚えてしまう。



「三人とも楽しんでる?こういう事って初めてだけどすっごく楽しい!」



「えぇ、貴方達といると何かしら新しい体験をするので

私達はいつも驚きと喜びと嬉しさで気持ちが温かくなってまいりますね。」



天真爛漫な笑顔と、控えめだが穏やかな笑みがそれを物語っている様で

見ているこっちまで気持ちがあったかくなってくる気がするな。



「正直言って、これだけの人数で正月を迎えるのは俺も初めてなんだよ。

気心の知れた奴らばかりで騒ぐってのは、楽しいもんだよな。」



こいつらといると、俺も昔と違ってなんだか穏やかになっていく気がする。

歳をとったから丸くなるのとはまた違う、気持ちが柔らかくなる感覚に

戸惑いも確かにあるが、決して嫌ではない。



「うんうん、そうだよね!

ねぇねぇ、5人で写メ撮ってもらおうよ!んで、ユノーヴァに送る!」



「クダリ、それはブラボーでございます!

あの従兄弟達を羨ましがらせてやる事にいたしましょうか。

それでは…キャメロン!申し訳ありませんが、写メをお願いできますか?」



…二人共、その写メを見たあの二人の反撃を考えないでやるとか

俺は後で何があっても責任は持たないからな、知らないぞ。



「イイヨー!5人共ソコニ集マッテ。ウンウン、ソレジャ撮ルヨー!」



銘々にコップを掲げたり、Vサインをしたりと好きなポーズをとり

全員が晴れやかな笑顔を向ける。

出来上がったモノを見れば、こっちまで釣られて笑いたくなるような

そんな良い映像になっていた。



「さて、そろそろ身体も冷えてまいりましたので中に入りましょうか。

皆様、今年も素晴らしい年になるように努力してまいりましょう!」



「ボク達がスマイルじゃなきゃ、お客様もスマイルになれない。

皆ですっごいハッピーな一年にしようね!」



両ボスの締めの言葉に全員がグラスを掲げて笑う。

こんな始まり方をしたのなら、一年間きっと楽しく過ごせるだろう。



「一年の計は元旦にありってありますから、今年はギアステで仕事三昧

色んな意味で、笑いも止まらなくなっちゃうよーって感じですかねぇ…」



さーん!それはある意味嬉しいような悲しいようなです!」



「カズマサ、仕事の充実は大切だ。

リアルの充実ってレールは今年は諦めろって事だと思うな。」



「トトメス、悲シイ事言ッちゃ駄目ダヨー!

オレハ今年コソ、リア充ニナリタインダヨー!!」



相変わらずのやり取りに、この場にいた全員がどっと笑い出す。

未だに鳴り続けている花火の音を聞きながら、

新年の始めを、こうやって楽しいひと時が過ごせた事を喜ぶべきだろうな。


明るいライモンシティの空を一際照らす光の花を見ながら

今年もよろしくの意味を込めてグラスを掲げて中身を一気に飲み干した。








新年の始まり、季節ネタでこれは外せないでしょうという事で
突発的に書き上げてしまいました。
これから一年間、皆様にとって素晴らしい年になりますように
そして、当サイトをこれからもよろしくお願いいたします(平伏)