2014 Halloween 企画
異世界からの来訪者達
今日は朝から業務が開店休業状態で、作業員としてはどうなんだって思うが
ハロウィンのイベントに問答無用で参加させられてるから仕方が無い。
出勤してすぐ、トップのボス達から満面の笑みで差し出された衣装に
俺等は頭を抱えた(…は喜んでたが、あいつは論外だ。)
衣装はサブウェイマスターのアレなんだが、その理由ってのが
今年のハロウィンのテーマ?は「サブウェイマスターを探せ!」らしくて
俺とは黒の、とは白の衣装を着ている。
「あの…もし…。」
エントランスから職員専用通路へ向かう途中、背後から控えめな声が聞こえ
営業スマイルを貼り付けて振り返った俺は、そのまま固まっちまった。
「ノボリまた間違えた!」
「クダリ、わたくしとて間違えたいわけではございません!…失礼しました。
わたくしどもはハイリンクをしてこちらに来たのでございますが…」
「こっちのギアステ、ハロウィンの真っ最中とか知らなかった!
サブウェイマスターを探してバトルしよう!ってポスター見てビックリ!」
サブウェイマスターがハイリンクしても良いのかというツッコミを入れたかったが
バトル狂の廃人なサブウェイマスターなら自分達ともバトルしたいと思うんだろう
良く良く見ればこっちのボス達とは、外見も雰囲気も微妙に違ってる。
「大変面白い企画にございます!わたくしどものバトルサブウェイでは
イベント等ございましても普段となんら変わりなく運行しておりますし…」
ホームやエントランスの飾りつけを感心したように見ている向こうのノボリは
こっちの黒ボスと比べると身長は少々低めだろうか?丁寧な口調は変わらないが
テンションがこっちよりも若干高めなのと、仕草なんかが凄ぇ色っぽい。
「どんな事してもやる事一緒!バトルする事には変わんない。
さっきからここのサブウェイマスターと間違えられてる。バトルもしてる。
電車以外でバトルとか新鮮。うん、面白かった!」
クダリの方は初対面の時の白ボスみたいに片言で話してるのもあるが
貼りつけた様な笑顔と同じ様に似合ってるかもな。
インカムで報告をすれば白ボスが休憩で執務室に戻ってるらしい。
お客様への混乱を避けてテレポートで移動すれば、ちょうとも戻っていた。
「ありがと!うわー、ホントにボク達にそっくり!
えっと初めまして?だよね!ボク、クダリ。ダブルのサブウェイマスターしてる
ノボリは途中で捕まっちゃってバトル中だからちょっと待っててね!」
「ぼくもクダリ!ダブルのサブウェイマスターも一緒!」
「わたくしノボリと申します!シングルのサブウェイマスターでございます!」
「やっぱり同じ!あのね、そっちのバトルサブウェイの話を聞かせて?」
初対面だが意気投合した様に3人で応接スペースに移動すると
がそれぞれにコーヒーを渡してから俺の所にやってきた。
「…なぁ、あのハイリンカーな二人ってやっぱりゲーマスだよな?
俺はてっきりここがゲームの世界だと思ってたんだが、違うみてぇだな。」
「俺も驚いてるぞ。それじゃあここの世界はなんなんだ?
ゲームじゃないなら…アニメとか漫画なのか?」
メタ発言満載だが、なにせ俺等は違う世界の住人だったんだから問題ない。
ポケモンは向こうでゲームだけじゃない、アニメもマンガもあったしな。
話の邪魔をしない様に事務スペースでコーヒーを飲みながら
(外に出ると俺もも、バトルしようぜ!とお客様につかまるんでな。)
つかの間の休憩を取っていると、黒ボスと、が戻ってきた。
「ただいま戻りました!ハイリンクで来られたサブウェイマスターは?
あぁ、大変お待たせして申し訳ございません!私ノボリと申します。
クダリと二人、ギアステの運営を兼任したサブウェイマスターでございます。」
黒ボスは応接スペースに向かうとハイリンカーの二人に深々と頭を下げた。
向こうのノボリとクダリが慌ててるのを俺等は事務スペースで見てたんだが
「ちゃん、あの二人ってゲーマス…だよね?」
「うん、話し方とか雰囲気とか間違いないっぽ。
アニマスは白いボスさんがこっちのノボリさんばりに苦労性だしー
スペマスだったらもっとちっちゃくて猫みたいな口してるお!」
なんではそんな事を知ってるんだ?
その後も二人で性的だの天使だの言いながら、終いには受けだの攻めだの言い出して
のくろいまなざしを受けて黙っちまった。あいつがしなきゃ俺がしたけどな
「ノボリお疲れ!あのね、向こうのギアステは一般車両が無いんだって!
カナワタウン行きは車両基地と職員宿舎?があるから通ってるみたい。」
「成程、世界が違うと形態も違うのですね。」
「お疲れ様でございます!わたくしもノボリと申します!
現在イベント中で大変でらっしゃるとクダリ様より伺っております。
こちらこそそのような時にお邪魔してしまい、申し訳ございません。」
「トレイン以外でバトルできるなんて面白い!でも二人だけじゃ大変。
ぼく達もお手伝いする!クダリはオッケーって言った!ノボリは?」
「当施設としては大歓迎でございますが、お二方はお時間等は?」
「わたくし達は就業後にハイリンクをしておりますので問題ございません。
明日も休日ですので是非ともお手伝いさせてくださいまし!」
「バトルミッションだからいつでもオッケー!」
「あのね、ノボリには悪いと思ったけど先に頼んじゃった。
だってすっごく忙しい!それにポケモン達も連戦してるから疲れてる。」
確かにその通りだよなぁ。ポケモン達は普段と違うバトルに喜んでて
今は疲れてる事すらわからないっぽいから、ここはトレーナーが注意すべきだ。
そんな事を考えていたら、との腕の中にいたチビどもが愚図りだした
「うわわ、ちゃんおっぱいタイム忘れちゃダメじゃん!
ボス達すみませんが仮眠室お借りしても良いですか?仕事場でとか思ったんですが
なんだか知らないけど、一般のお客様が覗きに来ちゃうんで困ってたんです。」
「あそこは職員通路への入口側だからついついお客様も覗くのかもしんない。
一応警備の人に注意してもらうようにして、アナウンスもかけておくね。」
「お子様方も大変でございましょう。ママがいなくて不安なのでは?
二人共、これからしばらく休憩してくださいまし。
もずっとバトル詰めですのでポケモン達を休ませてくださいまし。」
「丁度この後お昼寝タイムだしー、有り難く休憩させてもらうおー。
先に仮眠室に天使達と出発進行してるから、ちゃんミルク任せた!」
「ほいほーい、すっごいミルク作ってあげるから待っててねー。」
そう言ってが向こうの二人にお辞儀をしながらコーヒーサーバーへ向かい
小さなカバンから粉ミルクの入った哺乳瓶を取り出してお湯を注ぐ。
こういう光景が珍しいんだろうな、うちのボス達だけじゃなく向こうの二人も
興味津々って顔でそれを見ていた。
「あの、ノボリ様…大変失礼でございますがこちらの方はどちらかの奥様で?」
「「「は?」」」
「執務室に子連れ。こっちのボクの奥さんはどっち?」
「うわーいすっごい誤解されちゃったし!黒ボスも固まらないで否定して!
…ダメだこりゃ…白ボスー、補足説明よろしくですよー。」
「うーん今はまだ奥さんじゃない…「クダリっ!」あははー、わかってる!
あのね、仮眠室に入った子は四天王のギーマさんの奥さんと子供!
今ミルクを作ってるのがボク達の部下で友達。ーこっちに来れそう?」
「ほいほい、ミルクを冷やしてる間ならーっと、こんな状態で失礼します。
私、お二人の案内をした課長の部下としてこちらに勤めてます
委託業者として作業員をしてると申します。よろしくお願いします。」
「ギーマに奥さんって信じらんない!こっちのギーマは女泣かせ!」
「クダリ、少々ハッキリ言い過ぎでございます!失礼ですが様
事務員ではなく作業員…でございますか?」
あっちのギーマさんは昔のまんまか…
こっちでもと知り合う前はかなり浮名を流しまくってたって聞いてるしな。
むこうのノボリの言葉にちょっとムッとしたんだろう、眉間にシワを寄せて
指の代わりに哺乳瓶を振りながらが首を横に振っている。
「女の作業員は確かに珍しいでしょうけれども
私は自分が女性だからといって他の男性の作業員より劣ってるとは思いません
力仕事なら仕方ありませんが、私の仕事は性別は影響しませんので。」
「だっけ?格好良い!うん、女の人でもすっごい仕事してる人いる!」
「そうでございました!様、失礼な発言申し訳ございません!」
「わかっていただけたら良いんです。私こそ大人気なくてすみませんでした。」
普段と違い敬語を使って上司への態度をくずしてない所をみると
この二人にはいつもの様に猫をかぶってるんだろう。
元々俺等の中で一番の人見知りだし、両ボスへの懐き方の方が珍しいからな。
仮眠室からの声がしては失礼しますと言って席を外した。
「そー言えば二人の紹介もまだだった!」
「クダリ、それはお二人に失礼でございましょうに…、こちらへ
この二人も先程の同様私達の部下、そして友人でございます。」
黒ボスに呼ばれて俺とは応接スペースに向かい二人に挨拶をする
「ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。
俺は、ギアステで施設設備保全管理課の課長をしてます。」
「同じく施設設備保全管理課の事務を受け持って主任をしてますです。
ようこそ別世界のギアステへ、歓迎いたします。」
「設備の保全管理とはこちらにはない部署でございます。」
「でもあると色々便利だと思う。ノボリ、ぼくたちのギアステでも考えよう?」
「それはブラボーな意見でございます!失礼ですがノボリ様、クダリ様
施設設備の保全に予算をどの位お使いでしょうか?
わたくしどもでは…えぇ、この様な感じになっております。」
「数字の事はノボリに任せた!クダリ、ポケモン達の福利厚生って何?
ぼくたちの所じゃそんな事やってない!だから教えて?」
お互いに経営者の顔になって意見を言い合うのは流石で凄いとも思うんだが
今はイベント中だって事を忘れてるんじゃないだろうか?
「ボス達、お互いの情報交換も大事だろうけどお客様がお待ちですよ?」
「メインはお二人なんですから、もうひと踏ん張り頑張って下さい。」
「「あ…」」
「これは失礼を!ノボリ様、先程も申し上げましたが手伝わせてくださいまし」
「クダリ、ぼくたちがどこへ行けば良いか教えて?」
「それではお言葉に甘えさせていただきましょうか?」
「うん、一緒にすっごいバトルでお客様を楽しませようね!」
ハイリンクでやってきたノボリとクダリはサブウェイマスターに化けて
(元々サブウェイマスターだからこの表現もどうかと思うが他に思い浮かばないぞ)
ギアステでクダリの言うすっごいバトルをやらかしてイベントに一役買った。
むこうのサブウェイマスターは主にエントランスやホームを担当して
俺等のボス達はこっちの方が落ち着くといってトレイン内のそれも最終車両以外で
出没するなんて芸当を見せたおかげもあって集客率がすごい数字になったらしい
職員全員に特別賞与が出る位ってどんだけだったんだろうな。
向こうの二人は律儀に打ち上げにも参加して、職員達とも交流していた。
「あー、今からバトルってのも大変かもしんない。」
職場だから酒じゃなく、サイコソーダの入った紙コップを手に白ボスが言えば
黒ボスも俺の横でその通りとでもいう風に頷いていた。
「そうでございますねぇ…。そう言えばあちらのギアステも明日は休みとか
それならば私達の家にお泊りいただいて、明日改めてバトルをすれば?」
「それってスーパープラボーかも!うん、ポケモン達も疲れてるから
今日はゆっくり休ませなきゃダメだしちょうど良い!
ノボリ、クダリ!あのね、ミッションのバトルなんだけど…」
確かに手持ち達も大活躍したからその方が良いだろうな。
この後、の部屋に集まって二次会の予定だったが
俺等だけやる事にしようとすれば、仲間外れ駄目絶対!と言われ
結局は、ゲーマスの二人も参加することになって夜通し飲みまくった。
翌日二日酔いでヘロヘロになってるにも関わらず、
凄いバトルをした二組は、流石はサブウェイマスターだと言っておこう。