11月23日は良い兄さんの日! 2014
それは喧嘩じゃありません
就業時間前になんとか今日中の作業工程が終わり、ウキウキして部署に戻る。
部屋の中に入った途端、回れ右をして部屋を飛び出したくなった私は悪くないぞー
「逃げようなんざ良い度胸じゃねぇか、なぁ?」
「おう、この状況を収められるのはお前だけだと思うんでな、頑張れ。」
生活に疲れきった主婦みたいな顔をしたとを見てウンザリした。
だってさー、もうなんて言うの?部屋の中がすっごい空気が重いんだよ!
「その原因ってうちらに関係ないじゃん!実力行使しちゃえば良いじゃん!」
そー言って、諸悪の根源を指さしたよ!だってうちらは悪くないもん。
その指の先にはおんなじ白い特徴あるコートが二つ。
今にもキスしちゃうんじゃないって位顔が近づいてるんだけど甘さなんてないんだよ。
つーか、一触即発状態?お互いにスマイルだけど目が笑ってない、怖いっ!
「あのね、インゴが良い人っていうならノボリは神様になる。
いっつも上から目線とか何様の気でいるの?って感じで笑っちゃう、あははっ!」
「HAHAHA!クダリってTOPのクセに人を見る目がないヨネ!
決断力とかノボリにあるノ?部下の言いなりになるノガ良い上司じゃないデショ?」
うわーい、この状況を私に収めろですと?うちの上司達は何考えてるの?!
今二人の間に立ったりしたら絶対死ぬ。つーか近づくだけでHPもっていかれる!
触らぬ神に祟りなしにしたいんだけど、この白い鬼人様達がいるのは私のデスク前で
どーしたって彼等の視界に入らなくちゃ私は仕事もできないんだよねー。
それでも気付かれない様に抜き足差し足で自分のデスクに向かう努力はしたんだけど
急に二人の顔が一斉にこっち向くとか、マジで泣きそうな位怖いから勘弁して!
「おかえりー!今日は作業が早めに終わったんだね!
あのね、ちょっと聞いて欲しい。ノボリってばボクを怒るんだよ!」
「Hello!、ボクの話を聞いてくれるカナ?インゴっテバ酷いんダヨ!」
おや?いままで二人はお互いのお兄さんを庇って喧嘩してませんでしたか?
なのに私にはそのお兄さんの悪口を言っちゃうとか、どーいう事?
「えっと、ここは懺悔の部屋でも駆け込み寺でもないんですけど?」
「そんなの関係ない!あのね、ノボリってばちょっと書類の提出が遅れただけなのに
すっごく怒った!最近のノボリちょっとヒステリー気味でやってらんない!」
…それって、そもそも書類を溜め込まなきゃ良いだけの話なんじゃないの?
つーか、ノボリさんのヒステリーとか想像したくないぞー。
「、クダリよりボクの話を聞いてヨ!
インゴっテバ、ボクが全部まとめた書類にダメ出ししたんだヨ!
どこがダメなのって聞いたら、グラフのレイアウトが気に入らないッテ!!
そんな理由ってアル?無いデショ?!酷すぎるヨ!!」
どれだけすっごく良い書類でも、見にくかったりするとダメだと思うけど?
つーか、インゴさんのそんなのなんていっつもの事だと思うけどなー。
でもこれで話が見えてきたかもしんない、この二人きっと最初はお互い大変だねって
相手のお兄さんが悪いって言ってたんじゃないのかな?
それにしてもでっかい図体で私の前に立たないで欲しいなー。
世間では壁ドンとか乙女が萌えるシチュエーションがあるんだけど
これは壁ドンじゃなくて、壁ドーン!だよ。人が壁になっちゃ萌えねーよ!
「インゴってばそーいう人の気持ちわかんない所ある。」
「ノボリって細かい所まで気にしすぎデショ。」
うんうん、こんな感じでお互いに大変だねーって言ってたんだろうけどさ
それが間違いだってのにどーして気がつかないんだろ?
「デモ、インゴのやってる事はいつも間違ってないからネ。
効率的で無駄が無いってのは理想ダヨ、インゴは感情を仕事に持ち込まないカラ。
それッテ企業のTOPナラ当然の事デショ?ノボリは自覚が足りないヨ。」
「…あのね、言葉って凄く大事。そりゃノボリも口数少なくって誤解されやすいけど
ちゃーんとフォローする!言いっぱなしで自分の非を認めないとかサイテーだよねー。」
目の前の壁からすっごく禍々しいオーラが立ち込めてきたぞー。
だからどーしてそこまで言っちゃうのかな?言葉が足りないってのも問題だけど
一言…うんにゃ、もっとだな…多いってのも問題ありまくりだぞー
この双子、お互いを足して2で割れば丁度良いんじゃないかって思うんだけど?
オマケにこれって完全な泥試合状態でいつまでたっても終わらないんじゃないの?
それはやめて、聞いてる私のHPがゴリゴリ音を立てて削られていくでしょー!
二人がお互い睨み合いながら相手のお兄さんを貶しつつ、自分のお兄さんが
如何に凄いかって自慢気に言ってるのを横目に、私はインカムを切り替えた。
んで、そのまま音声を垂れ流し状態にして放置する。
うちの上司達の耳にもそれが流れ込んでるから、二人は凄くうんざりしつつも
これから何が起きるかってのが簡単に予想出来たみたいでこっちを見てニヤニヤしてる
うん、わたしもこれからどーなるかちょっと楽しみにしてたり?
「インゴは完璧だからFollowナンテ必要無いんダヨ?
出来の悪い兄を持ってクダリは大変ダネー。ボクが弟でなくて良かったヨ!」
「インゴが完璧とか笑っちゃう!人の気持ちがわかんない冷血漢がおにーさんとか
エメットってば凄く可哀想!ボク、ノボリがお兄ちゃんで良かった!!」
「インゴが人の気持ちがわかんないトカ、どうしてそんなのクダリにわかるノ?
インゴはホントは凄く優しいんだからネ。それに気がつかないトカ馬鹿ナノ?」
「馬鹿なエメットにそんな事言われたくない!
エメットがそんなんだから愚弟とか馬鹿は黙ってろって言われるんだと思う。」
「甘えん坊なクダリがよく言えるヨネ!ホント君って変わらないヨ!
だからノボリがママみたいになっちゃうんだってわからないのカナ?
それにインゴは口ではそんな事言うケド、優しい所は変わってないんだヨ
この前も寝不足なボクに朝食持たせてくれたんだカラ。」
「ノボリだって優しい。ボクが疲れてると分担してる家事全部やってくれる。
ごめんねって謝ったらボクの身体の方が大事だって言ってくれる。」
「ボクのインゴはそんな事は言わないケド、ちゃんと栄養考えたご飯作ってくれるシ
お互いに忙しいノニ、ボクの分の書類まで全部仕上げてくれたりするヨ!」
…さっきから黙って聞いてれば、コレなんてお兄ちゃんの自慢大会?
でも普段はわからないインゴさんやノボリさんの一面が垣間見えて面白い。
ノボリさんが嫁状態な位の良いお兄ちゃんなのは知ってたけどさー
インゴさんがツンデレ嫁属性だったとは意外だったね!
うちの上司達ってば、ニヤニヤ笑いから爆笑を我慢して肩がプルプル震えてるし。
終わりが見えない二人の褒め殺しに、お腹いっぱいですって言いたくなった頃、
部屋の外からすっごい足音が響いて、すっごい音を立ててドアが開いた。
これにはさすがのエメットさんもクダリさんもビックリしたみたいで話を止めて
そっちの方を見て、更にすっごくビックリした顔をしたまま黙り込んじゃった。
「インゴ、ボクはソノ…」
「オマエの低俗な話に貸す耳ナド、ワタクシには存在いたしマセン。」
「ノボリ聞いてよ!あのね…」
「クダリ、貴方は自分の非を認めずに他人を批判するのですか?」
うわーい、問答無用?一刀両断?まさにその言葉がピッタリだよねー。
弁の立つこの二人を難なく黙らせる事が出来る人なんてそうそういないよ?
流石はおにいちゃん!って事なのかな?でも仁王立ちしてる二人が怖すぎるっ!
「それだけでは足りずに達の仕事の邪魔までしているのに気づかないのですか!
皆様申し訳ございませんでした、クダリには私から言っておきますので…」
「愚弟が迷惑をかけましたネ。」
ノボリさんは全身で、インゴさんは視線だけでうちらに謝ってきたんだけど
なんだかいたたまれない感が全身から出てる気がするんですが?
まぁ、部下の前で弟が自分の事を褒めまくって自慢し合えば仕方がないかー。
「俺等は別に構いません、仕事も終わって後は明日の確認だけでしたし。」
「あんまり二人を責めないで欲しいな。黒ボス達の言い分もあるのだろうけど
白ボス達の話を聞く限り、多少の非が二人にもあると思うからね。」
「私は目の前に壁が出来るわ、事務仕事ができないわで散々でしたけど?
でも面白い話が聞けたんでオッケーでっす。愛されてますね?お兄ちゃん達!」
私の言葉に上司たちが揃って頷いた。
多分うちらはすっごい生暖かい視線をこの上司達に向けてるんだろう。
白組のボス達も自分が何を言ってたのかやっと理解できたみたいで凄く恥ずかしそうで
モジモジしちゃってる…いい年ぶっこいた男のする仕草じゃないんだけど
この二人がすると違和感がないってが逆に怖いぞー。
「「……」」
ノボリさんは口元を抑えて、インゴさんは制帽の前の方を掴んで下を向いたけど
耳が赤くなってるのがバレバレで隠しきれていませんよ?
うわーい!良い話だけじゃなく、良いモン見させてもらったわー!!
二人のお兄ちゃん達が、それぞれの弟の襟元を掴んで引きずる様に出て行った後
思う存分大笑いする上司達を横目に、私もニヤニヤが止まりませんでしたとも!
こりゃー当分、揶揄うネタには困らないね!!