2013 中秋の名月
月明かりに溶ける
『お月見がしたいんですよ、インゴさん。』
そう言った恋人に付き合って、ピンフィール・フォレストにきてみれば
一箇所だけ外れた柵を指差してワタクシを手招きしていマス。
「…ここから入ると言うのはワタクシあまり賛成デキマセン。」
その先は身長と同じくらいの草むらが生い茂り、道もない様な場所デシタ。
空を見上げればもう少しでフルムーンが頭上に差し掛かろうかとしておりマス。
「行くのにちょーっと大変なんですけど、すっごく素敵な場所なんです。」
そう言って、躊躇う事なく先に進むの後を追うべくその場に入りマシタ。
背丈ほどの草をかき分けながらしばらく歩いて行くと急に視界が開けマス。
「コレは見事デスネ。」
月明かりに霞みながらも輝く星達と、聞こえてくるのは虫の声と風の音、
周囲は秋咲きの花が乱れ咲き、甘い香りがこの空間を満たしてオリマス。
は私の言葉に嬉しそうに微笑むとレジャーシートを広げ、座りマシタ。
ポンポンと横を叩いて手招きしておりマスノデ、その横に座れば満足そうに
頷いてから寝そべって、空を見上げておりマス。
「うん、時間的にピッタリ!丁度真上にお月様ー!!」
コラ、お行儀が悪いデスヨと言えば、ご一緒して下サイとは…ヨロシイ、
この際、徹底的に付き合う事に致しまショウカ。
あぁ、確かに座って見るよりも月が身近に感じられマス。
ニンバサ・シティでは周囲が明るすぎて月の光など霞んでしまいますからネ。
「私のいた所では秋の真ん中に当たる時期のフルムーンを眺めるって
風習があったんですよ。収穫に感謝したりとかお団子…ダンプリングを
月にお供えしてから食べたりとか…。」
は自分の故郷の話をする時は思い出を愛おしむ様にに必ず目を閉じマス。
彼女を形作った場所がどんな所かは知りませんが、いつも寂しげなのデス。
ワタクシが傍にいると言うノニ、非常に気に入りマセンね。
の身体を引き寄せて、腕の中に閉じ込めれば色気の無い叫びが聞こえ
その後、慌てた様にワタクシから離れようと暴れマス。
いい加減に慣れても良いと思うのデスガ、本当に恥ずかしがり屋デスネ。
「はいつも、自分の故郷の話をする時に寂しそうな顔をシマス。
ですが、今の貴女の故郷はもうニンバサ・シティのワタクシの元でショウ?」
お互いの間にわずかな隙も無い程抱きしめて耳元で囁けば、笑い声がシマス。
相変わらずのムードクラッシュにも負けず、そっと額に口付けマス。
「うん、そう…そうだよね。私のいる場所はインゴさんの所だよ。
ゴメンね?なんだか月明かりのせいかな、ちょっと寂しくなった。」
「の寂しさも悲しみ、苦しみも全てワタクシが受け止めます。
ですから、貴女は私の傍で笑っていれば良いのデス。」
優しく髪を撫でレバ、そのまま私に大人しく身体を預け目を閉じマス。
隠しきれなかった涙が頬を伝い、寂しさの大きさが何程かが伺えてしまウ。
イッソの事、過去に飛んでいってその寂しさをワタクシが埋めて、
消し去ってしまえればどんなに良いのでショウ。
「月明かりに光る貴女の涙はとても美しいデスガ、不要デス。
いつも言っているでショウ?ワタクシを頼りなサイ。
大体、元気が無いナド貴女らしくもアリマセン。
それ程寂しいのなら、今すぐに愛シテ差し上げまショウカ?」
「インゴさん、ここが外だって事を忘れないで!全力で遠慮します!!
…だけど少しだけ、ほんのちょっとだけ、やっぱり甘えてもいいかな?」
そう言ってが私の背に回した腕の力を強めマシタ。
貴女の心を乱す、そんな寂しさナドはワタクシが吹き飛ばしてあげまショウ。
「チョットと遠慮は不要デス、もっとワタクシに甘えなサイ。」
ワタクシが顔を近づけレバ、ゆっくりとの瞼が伏せられ
虫の声と風の音と二人の吐息の行方を知るのは月明かりだけでゴザイマス。