2013 Halloween 企画------Trick and Surprise

2013 Helloween 企画

Trick and Surprise



『書類を部屋のデスクの上に忘れたので、届けて下さいヽ(`Д´)ノ』


顔文字入りのメールが届いたのは、いいだけ夜も更けてきた頃で
慌ててギアステーションに来てみれば、そこはワンダーランドでした。

もう、バトル車両の運行も全部終わっちゃったのかな?
チャレンジャーさん達の姿はなく、人影もすっかりまばらになっていて
施設の中の照明が少し落とされて、代わりににジャックオーランタンが
ほんのりとした明かりを灯しているし、壁にはコウモリや星を型どった
切り絵?が貼られていてハロウィン一色に変わってた。

ユノーヴァの人って何げにノリが良いなぁと感心していたら。
狼男の仮装をした てつどういん さんが執務室へと案内してくれた。


「 Boss 、さんを連れてきたでー。ほな、後は宜しゅう頼んますわ!」


なんだかよくわからない事を言われ、中に入ってみれば、流石に内装こそ
いつもと同じだったけど、部屋の主が違ってました。

普段の黒い制服ではなく、同じ黒でもシルクの光沢も見事な中世風の
衣装に背中にはコウモリ型の羽、帽子の代わりにゴージャスなクラウン、
耳の横には大きな角が見える…これはどう見ても悪魔…魔王様でした。


「インゴさんのその格好…似合いすぎてクラクラします!
っと、これ頼まれた書類で間違いないか確認して下さいね。」


私が書類を渡すと、目を細めて受け取ってくれるのは良いけど
なんだろ、いつも無駄に色気があるのは知ってるけどそれ以上!
そして、手袋もこれまた違って黒の革手袋とか…徹底してて凄いなぁ。

ふと応接セットの方を見ればこれまた凄く色っぽい衣装に身を包んだ
Elesa(カミツレ) さんがこっちを見て手を振っていた。


「 Hello !ったら相変わらずcuteでクラクラしちゃうわね!」


「いやいや、Elesa(カミツレ)さんの方が凄いですよ。
これは何の仮装なんですか?魔女…うーん、何か違うっぽいなぁ。」


私が考え込んでいると妖艶な笑みで私のそばに歩いてくる。
そのモデル歩きも凄く似合いすぎてちょっとドキドキしちゃう。


「 フフッ、Succubus(サキュバス)なのよ。所で、Torick or Treat ?」


凝った装飾をされたネイルのついた手を私に向けてきたから
私は持っていたトートバッグからジャックオーランタンの形をしたクッキーを
Elesa(カミツレ) さんに渡した。


「イタズラが怖いので渡しておきます。昨日作っておいて良かった!
あ、インゴさん。これ後で職員の皆さんに食べてもらってくださいね。」


そう言って家へ…っていってもインゴさんの家なんだけどさ。
つーか、私の家は既にインゴさんが問答無用で引き払っちゃったから
私の家にもなったんだけど…まだちょっと照れるなぁ。
帰ろうと思ったら、横から腕を Elesa(カミツレ) さん にとられた。

え?何??チョロネコみたいな笑い方が怖いんですけどっ!
ビックリしてる私に、魔王…もとい、インゴさんが近づいてくる。


…ワタクシも Torick or Treat ? でゴザイマス。」


ちょーっと待って!昨日散々イタズラしたのは誰ですか!?
って叫びたくなったけど、流石にそれは恥ずかしいので耐えました。


「インゴさんも一緒にクッキー「ワタクシ個人の物を所望シマス」…えー」


そんな物、持ってきてるわけないでしょー!
仕方ないから家に帰ってからと耳元で囁けば、ちょっとビックリして
しばらく悩んでたけど…うん、何を考えてたのかはわかるけどやめてね?
やがて子供だったら泣きそうになる様な笑みで首を振った。


「お菓子がなければイタズラでゴザイマスので、覚悟して下サイ。
では、 Elesa(カミツレ) 、お願いイタシマス。」


「アナタが暴走列車になる位にしてあげるわ!、こっちに来てね?」


Elesa(カミツレ) さんは私を引きずるように隣にある仮眠室のドアを開けた
そこにはなんだか沢山の衣装箱があって、何をされるかが簡単に想像出来た。
必死で抵抗しようとするんだけどさ、何げに体格差?そんなものもあって
全然かなわないよ!いや、本気出せばいけるけど、流石に女の人相手には
そんな事できるわけもないし、ホント勘弁して…くれる訳なかったです。


色々なんだか大切なものを失った気がして着替えが終わったんだけど、
恥ずかしくて仮眠室から出れません!

今の私の姿はインゴさんと同じ黒一色で総レースのドレスは露出も凄い!
頭には幾重にも重ねられた黒のヴェールがついていてそれが顔を半分以上
隠してくれてるから良いんだけど、それでも恥ずかしすぎて無理!


…いい加減にしないと魔王の げきりん くらうわよ?」


クスクス笑う彼女が仮眠室のドアを開けちゃった。
あー、もう!こうなったらこれはイベントなんだからノリますよ!!


「…流石は有名モデルのお見立て、素晴らしいデスが困りマシタ。
ワタクシ、のこの様な美しい姿を誰にも見せたくアリマセン。」


インゴさんが凄い綺麗な笑顔でこっちを見るのが恥ずかしくて俯けば
ドレスの裾を掴んでいた手をやんわりと取られた。
その手が微かに震えているのに驚いて顔を上げれば。
いつも以上に真剣なアイスブルーの瞳が私を見つめていた。


、Trick はここまででゴザイマス。
これより先は、Surprise としてワタクシが用意いたしました。」


「サプライズ…って、ここでネタバレしちゃってサプライズになるんですか?
って、まぁ良いですよ。もう最後までお付き合いさせてもらいます。」


インゴさんは割といたずらっ子な所があるけど、それは決して私を不愉快に
させるような物じゃないって事がわかってる。
それにしても、こんなに真剣な目をしたインゴさん…あれ?前にも見た事ある
それはいつだったっけ…うーん、思い出せないや。
私の言葉に、凄く安心したかの様に大きく息を吐き出したインゴさんは
そのまま私の手を引いて執務室のドアを開けた。

スタッフ用の通路はおろか、一般の通路にさえ誰ひとり姿が見えない。
ちょっとコレはおかしいんじゃないかなって思ったときに
メインホームの入口が見えた。あれ?なんで真っ暗なんだろ??
驚いて立ち止まろうとする私の手をインゴさんが握り締めた。

さっきから全く何も話してくれないインゴさんを不思議に思ってたけど
今の表情もそう、凄く真剣で話しかけることすら躊躇ってしまう。
きっと私が凄く不安そうな顔をしてたんだろうな。
インゴさんがそっと、安心させるかの様に頬にキスをしてくれる。
たったそれだけなのに、すっかり落ち着いちゃう私に、自分でも驚いた。
再び歩き出して暗いメインホームに入ったと同時に照明がつく。
そこは普段の景色とは全く違う物に変わっていた。

足元には真紅の薔薇の花びらが敷き詰められ、その先には
なんだろ…?赤と紫を基調にした花々に飾られたテーブル?がある。
通路には沢山の職員さんたちやトレイン乗車のトレーナーさん達、
その先にインゴさんと似た容姿をした二人が司祭の仮装をしてました。

彼等、ノボリさんとクダリさんは以前の職場に視察に来た時に知り合って
その後もメールのやり取りとかして仲良くさせてもらってた。
そういえば、私がユノーヴァに移った事は言ってなかったかも。


「お久しぶりでございます。視察の時は大変お世話になりました。
しかし、様がインゴの恋人でいらっしゃったとは思いませんでした。」


「ボク達とインゴ達従兄弟同士!外見似てても中身は似てない。
インゴ、すっごく真面目になってどーしたのって思ったけど、納得!
二人ともお似合い!でもインゴ、ウェディングドレスは白でしょ?」


「…何故、クダリや愚弟の色で彼女を装わねばならないのデスカ…
の全てをワタクシの色に染め上げる為に今日を選んだのデスヨ?」


ちょーっと待って!ノボリさんとクダリさんがこっちに来てるってのにも
インゴさん達と従兄弟同士なのにも驚いたけど、ウェディングドレス?!
あ…確かにヴェールも被ってるし、デザインもよく見ればそれっぽい…

これって、もしかして、いやインゴさん、マジですかぁあああ!!


「フフッ、様がすっかり固まってらっしゃいますね。
インゴのサプライズも成功した様で一安心でございます。」


「エメットもすっごく頑張った!皆に協力してもらうように頼んで、
ギアステでの結婚式の認可とって、結婚登記官も派遣頼んだ!」


ギアステの柱の影から天使の仮装をしたエメットさんが出てきた。
その手には二つのシンプルなペアの指輪の入った入れ物がある。


「色々言われてるけどサー。一応インゴってばボクの兄さんダシネ。
それにこんな素敵な義姉さんが出来るんだモン、張り切ったヨー!
インゴ、。ボク、オメデトーって言いたいから早く進めチャオ?」


どうしよう、何か言いたいのに何を言えばいいのかわかんない。
嬉しい気持ちとか不安な気持ち、怖いような気持ちが頭の中を占領して
グルグル回ってる。せっかく化粧してもらったのに涙が出てきちゃった。


…、色々と思う事はあると思いマス。
デスガ、どうかあなたの全てをワタクシに委ねて下サイ。
貴女を幸せに致しマス。そして貴女もワタクシを幸せにして下サイ。」


インゴさんが優しく私を抱きしめてくれる。その腕のぬくもりから
インゴさんの気持ちが伝わってくる。私を好きだと、望んでいるのだって
一切の飾りも何もない…そんな想いの前に私の不安なんて小さなものは
すっかり霞んで消えて、代わりに幸せで、気持ちが一杯に満たされた。
優しく涙を拭って、私を見つめるアイスブルーの瞳に頷いて応える。

エメットさんが真紅の薔薇で作られたブーケを私に手渡すのを合図に
ノボリさんとクダリさんが最初に全員に向かって結婚に意義がないかを
確認した。全員の沈黙が肯定になり儀式がはじまる。


「愛は寛容であり、愛は親切です。また人を妬みません。
愛は自慢せず、高慢になりません。
礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず…」


ノボリさんの聖書を読む声がギアステ中に朗々と響き渡る。
その後でクダリさんが誓約の言葉を私達に読み上げる。
インゴさんがよく通る声でハッキリと「I do.」と宣誓をした。
私も声が震えちゃったけど同じ様に宣誓をする。

誓約の証として指輪の交換をするとインゴさんが私の手を握手の形で握る。
ノボリさんとクダリさんが首にかけていた帯で覆い婚姻の宣言を済ませる。

インゴさんの手が離れたと思ったら私のヴェールをそっと上げて
恥ずかしいという気持ちは全くなくって、私はキスを受け入れた。
ほんの触れ合うだけのキスだったけど凄く神聖な物の様で、
私はインゴさんの奥さんになったんだなぁって、この時実感した。

最後に結婚証明書へインゴさん、私、インゴさんの証人のエメットさん
私の証人としてElesa(カミツレ) さん、ノボリさん、クダリさんの順に
サインを書いていった。

終わったあとにノボリさんとクダリさんが私とインゴさんの手を組ませて
自分達の手も重ねてお祈りをする。


「「神と会衆の前において、ここに二人が夫婦たるの誓約をしました。」」


全員の前に向かってそう言い終わった途端にギアステ中が歓声に溢れた。


“黒ボス、さん、congratulations !お幸せにー!”


これは職員さん達からの言葉。


(様)、インゴ!絶対に幸せになって(ね)(下さいまし)!!”


これは私を知ってくれてる人達からの言葉。

沢山の笑顔とおめでとうと祝福の言葉に嬉しくって涙が止まらない。
もう、ヴェールで顔を隠す事ができないから、持っていたブーケを
顔の前まで持っていって泣き顔を隠す。
だって、きっとお化粧も落ちちゃってすごい顔してるから!
そんな顔を皆、特にインゴさんには見られたくない。
そう思ってたら、持っていたブーケをインゴさんに取られちゃった。


「世界で一番幸せになる方の持っていたブーケでゴザイマス。
受け取った方も同様に幸せになれるデショウ…受け取りなサイ!」


その場にいた人達が一斉にブーケ目掛けて突進するのに驚いちゃった。
でも、そうだね。インゴさんがそばにいるだけで私は幸せです。
目を閉じて、幸せを噛み締めてたら、目元に柔らかな感触が当たる。
ゆっくりと目を開ければ、インゴさんが優しく私を見つめている。


「ワタクシの Trick も Surprise も大成功でゴザイマス。」


えぇ、ホントにしてやられましたとも!前に見たことがある表情は
プロポーズをしてくれた時のでしたね。今思い出しましたよ!!


「ホントに、インゴさんにはやられっぱなしですよ。
でもね、それじゃあ悔しいので私も必ず驚かせてあげますからね!」


「フフッ、何で驚かせて頂けるのでショウカ?楽しみデスネ。」


余裕たっぷりのその表情が驚きに変わるのを私も楽しみにしてますよ?

今はまだ、そんな気配も全く無いけれど、その時が来るのは
きっとそんなに先の事じゃないだろうなって思いながら
ゆっくりと近づいてくるインゴさんのキスを瞳を閉じて受け入れた。









リクエストした方のみ、お持ち帰り可能ですのでご了承下さいませ。

口から砂糖が出るほど甘くという、智子様のリクエストを受けて
インゴさん短編の続きです。プロポーズが終わったら後は結婚式でしょう!
でも、インゴさんは絶対智子さんに白のウェディングドレスを着せたがらないよねー
って、独占欲もダダ漏れなインゴさんになりました。
この様な作品で良ければ、どうぞ受け取って下さいませ。

智子様、企画参加、本当有難うございました!
また何か企画する事がありましたらどうぞ参加してください。(平伏)